んな日にも 16
ま、まままままぁ、まずは嫌われなかった事が一番肝心だ。良かった。本当に。
色々混乱しているが、とりあえず落ち着け自分。
「沢田さんは、言い方が失礼だとは思いますが…見た目も雰囲気も可愛らしいので、みんなつい撫でたくなってしまうんですよ」
「それも…みんなに可愛いって言われるのも嫌なんだけど…」
「あ…(正直に言い過ぎたか…)」
「ううん、獄寺さんはやっぱり違うんですよ」
「え?(何がデスカ!?)」
「獄寺さんに言われる可愛いは、何かくすぐったい感じなんです」
「…それは、言われても嫌じゃないって事ですか?」
「うん、獄寺さんになら」
………何ですか、ナンデスカ!!
この方は俺を何処まで喜ばせれば気が済むんですかぁ!!!!
さっきの事もあるから迂闊に手を出さないように後ろで組んだ手は離さずに心の中で大きくガッツポーズをした。
「あの、嬉しいです。俺、褒め言葉として沢田さんは本当に可愛らしい方だと思っていて…こんな事思うのは、あなただけです」
「え?あ、あの…俺も…そう言ってもらえて、嬉しいです…?(こんな美形な人に真剣な顔でこんな事言われるなんて…ますます嫌じゃないよ)」
沢田さんは顔を真っ赤にしてオロオロしだした。けど、嫌がってる様子では無い。
よし、「可愛い」と言っても大丈夫な事を確認出来たからにはボロを出さないうちにこの話題からは逸らそう。
「あの…この前の様子だと、もう少し先の来店かと思っていたのですが。いや、俺としてはこんなに早くお逢い出来て嬉しいですが」
「そうですよね、俺も当分来れないと思ってたんですが、この前先月分の給料が出たんです」
「そうなんですか、それは嬉しいですね」
「はい!だからここに来るのが待ち遠しくて」
「そう言ってもらえて光栄です。すみません長話してしまって。どうぞ、商品見てやって下さい」
「ありがとうございます!」
ぺこりとお辞儀をして沢田さんは店内を見始める。給料入ったらとは言っていたが、本当に直ぐに来てくれた事が嬉しい。