んな日にも 5
勿論、受けた仕事だ。嫌であっても手は抜いていない。
でも、誰から何と言われても嫌だった事なのに、何故だか沢田さんに言われると嫌悪感が湧かない。
「…良く、俺だって分かりましたね?化粧してるし、帽子を深くかぶって髪の色も目もカラコンで変えてたんですが…」
まだ多少ショックで頬が引きつりつつ俺も冷静さを取り戻すが
「目元と雰囲気で…ちょっとカンだったんですけど……割と自信ありました!」
と、目をキラキラさせながら告げる彼に正直今までバレていないだけにカンだと言っても自信がある発言に驚いていると、同じように驚いていたディーノが
「俺、その話はしてないからなー!その店知ってるから連れてってやるよ。って言っただけだぜ!アレはお前がみんなに口止めしてたからな〜」
あの時の剣幕は凄かったな。と笑いながら言うと今度は沢田さんが驚いた。
「ディーノさんて、ただのお客さんじゃないんですか?」
…それはそうだ、今のディーノの言い方ではディーノは明らかに関係者側の人間になる。
口止めしてたのに、ホイホイ喋りやがって。
…とは思うが、いきなりの事で過剰反応してバラしたのは自分だから何とも言えない。
「ディーノさんの会社には、うちの海外の広報を扱ってもらっているんで撮影現場に来る事も多くて、あの時も居たんですよ」
まぁ、親類?の関係なら別に構わないか。と思って教えると、沢田さんはまたキラキラを飛ばしながらディーノを見上げて
「ディーノさん凄い!そんな仕事をしてたんですね!!」
と歓喜の声を上げた。
ムッ…
「ムッ」?
何で今ちょっとディーノに…
…え?
…いやいやいや、ちょっと待て。
まぁ、それなりに経験はあるから…何となくこの感覚は知ってはいるが…
嘘だろ?