んな日にも 4
「獄寺隼人です。こんにちは」
ニッコリ微笑むとポンっと音が聞こえそうなくらい顔を真っ赤にさせた。ますます可愛い。営業スマイルではなく自然に頬が緩む。何だか久しぶりの感覚だ。
「あ、あの!」
少し自分の世界に行ってしまっていたら声をかけられて少年…沢田さんを見ると、携帯の待ち受け画面をこちらに向けていた。その画面を見た俺は、思わず店では使わない声で「ゲッ…!!」と呻き、後ろに仰け反ってしまった。
その反応を見て沢田さんは可愛い顔をさらにキラキラさせて
「やっぱり!今逢って思ったんですが、これ、貴方なんですね!えっと、獄寺さん!」
と興奮していた。
あぁ、可愛い沢田さんの顔が小悪魔に見える…。
沢田さんが待ち受けにしている画面の中の人物は正しく俺だ。
去年ドタキャンしたモデルの変わりに1度だけ5連休の餌につられてやってしまった連載雑誌のモデルの写真。消し去りたい過去。
「勝手に写メって待ち受けにしててすみません…でも…俺、この写真が一番好きで…」
俺が硬直したことで沢田さんのテンションは落ち着きを取り戻し、申し訳無さそうにこちらを伺う。
何て反応したら良いものか困っていると、横からディーノが口を挟んできた。
「久しぶりにツナの家に行ったら部屋にボンゴレが載ってる雑誌が沢山あって、でもあれ女性誌だから」
そう、ボンゴレが唯一広告らしいことをしている雑誌は女性誌。しかも20〜30代をターゲットにしているため、沢田さんが買う雑誌では無いはずだ。
「変だと思って聞いたら、ボンゴレのページが好きで頑張ってコンビニで毎月買ってるなんて言うから、今日連れてきたんだよ!」
なるほど。とは思うが、まだまだ疑問は多く、沢田さんへ視線を移すと彼は学校で女子が見ていた雑誌のボンゴレのページに惹かれて最初はその女子に買ってきてもらっていたがちゃんと自分で買いたくなり、自分で初めて買った時の写真が俺だった。思い入れがある事以外でもやっぱりその写真が好きだと説明してくれた。