んな日にも 1
「お先に失礼します、お疲れ様でした」
「あぁ、お疲れ。また明日よろしく。」
(今日の売り上げはいまいちだったな…。明日はBポイントのディスプレイ変更をするか…後は仕入れの計算やったら上がろう。)
獄寺隼人は姉のビアンキがデザイナーをやっている店でいきなり働かされはじめ何だかんだで5年がたち現在24歳。
今、日本に4店舗、海外に3店舗あるレディースがメインだがメンズラインもあるこの店「ボンゴレ」の売り上げNo.1店の店長をしている。
「ボンゴレ」は派手な宣伝はしない。
ハンドメイドの商品も多く、広げすぎて手が行き届かなくなる事をビアンキは嫌がっているので毎月の雑誌に広告は載るものの、かなりデザイン中心で店情報が分かり難いためにそこから店に辿り着く一般客は少ない。
「お金はある人間から取れば良いのよ」
とゆうビアンキの持論から、一般より少し高めの価格だ。パンクロックを基調としながらも、格好良くも可愛らしくも着れるとモデルの私服として人気が上昇し、業界や余裕ある者達ご愛用ブランドのような店として確立されていた。
彼は話が得意なわけではないし、目の肥えた客相手の接客は難しい。
けれど自分のセンスにはそれなりに自信があり、最終的には客の好みだが、アドバイスを求められればホスト接客などで買わせる事をせずに、商品の良し悪し等をハッキリ伝える事で評判は良かった。
なにより、デザイナーの弟だから店を任されているなどとは言われたくなく、個人売りとしての成績もNo.1をキープさせている。
押し売りはしないが、すすめた商品が売れるのは素直に嬉しく、客の話に乗り、笑顔で接客をするのも板についた。
それは媚びではなく、楽しんで納得して買い物をしてもらいたいとゆう自分なりの最低限のマナーだ。
しかし、日々起きる小さな問題が塵のように積み重なり、どの業種だろうと働いていれば抱えるであろう目に見えないストレスに煙草の量が増えていた。
最後に店内を一回りし、乱れを直して店を出る。
気が向けば店に入り食べて帰るが、人混みが苦手なため、大抵は真っ直ぐ帰路につく。