Perfume










「獄寺君て、いつも良い匂いするけど、何かつけてる?整髪料のかな?」


暫かたぶりの快晴が心地良く、綱吉、獄寺、山本の3人は放課後の屋上で大の字に寝そべり空を見上げてたわいもない話をしていた。

そして話題が切れた時に綱吉の右側、風上に居た獄寺からフワッと香った匂いに何の気なしに綱吉が日頃の疑問を口にしたのだ。


「あ、多分パルファムっすね」

「「ぱるふぁむ?」」


聞き慣れない単語に疑問符を飛ばした2人。

「えっと、香水ですね。正確には香水はきついので、その下のオーデ・パルファムなんすけど…フレグランスやコロンの方が分かりやすいですかね?臭いっすか?」

「臭くないって!そっか、フレグランスとかコロンなら分かるよ!良い匂いだなって思って。(あと…ドキドキする…)その、種類は分からないんだけど、1日に何種類か違うのつけるの?」

「いえ、朝家でつけるだけで持ち歩きはしないっす。ちなみに十代目、何種類つけてると感じるんですか?」

「う〜ん…よくわからないけど、3種類くらい…?」

「さすが十代目です!パルファムってやつは、つけてから薄れていく間に3回匂いが変化するものが多いんです」

「変化!?へー!薄れていくだけじゃなくて匂いが変わるなんて知らなかった!」

驚いてムクッと上半身だけ起き上がって獄寺を見ると、つられて獄寺も起き上がり綱吉と向き合うように座り直す。


「トップノート、ミドルノート、ラストノートの3段階です。」

「あ〜、それは部活の先輩が言ってた気がするのな!…ん、携帯…」


2人の良い雰囲気を微笑ましく見ていた山本が、知った単語に反応したところにメールが来たらしくポケットから携帯を取り出す。


そんな山本を気にせず獄寺は綱吉の鼻先にヒジ近くを差し出して話を続ける。

「自分がヤニくせぇのが嫌でつけてるんで、これくらいの距離じゃないと分からない位の量にしてるつもりなんすけど」

「ん、これ最近よくつけてるやつだよね?」
鼻をスンスンさせる様は可愛い小動物で、獄寺は思わず綱吉の頭を撫でる。


携帯をいじっていた山本がメールの送信完了を確認してパッと2人を上げると、いよいよ自分はお邪魔虫だな。と内心で笑う。
そして「よっ!」と言いながら勢い良く立ち上りドアへと歩きながら爆弾を投下した。


「まぁ、何かつけてんだろーなぁ。とは思ってたけど、1日の中で匂いが変わってるとか、違う種類つけてるなんて誰も気付かないのな!ってか、気付けないよな。獄寺の近くにずっと居れるのなんてツナくらいなんだからさ!」


と言いながら携帯を振り、野球部の集合メールだったのであろう「ミーティング〜」と言って扉の向こうへ足早に消えていった。

その様子を呆気に取られてポカーンと山本を見送った2人は既に閉まっている扉を見続ける。

頭の中では今、山本が言った言葉を各々解明しようとフル回転だ。


そして「ちっ、あの野球馬鹿…」と獄寺が小さく悪態をついたのが合図かのように目の前の綱吉が顔を真っ赤にさせてポンっと湯気を飛ばしたのだった。




end


お付き合いありがとうございました!
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後書き↓

もっと書きたいことがあるんですが、どーしても最後が締まらないので、とりあえずこれはこれとして。

上記の文では説明出来てない伏線を、次回上手く活かしてイチャコラさせたい(・∀・)b




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