ツナツナパニック★ 7
お互いに心の奥底にある相手への愛は、相手を思いすぎて傷つける気がしている。まだこの矛盾だらけの感情を上手く相手に伝える術を2人は知らない。
それでもお互いが必要で、大切で、離れたくないなら…相手も自分も騙していくしかない。今は答えが見つから無くとも、歯がゆさに苛立ったとしても優しさを思い出し不器用なりに乗り越えていきたいと願うしかない。それが今の2人の関係。
ある意味では心の奥底にある思いまで一緒。
怖いくらいの結び付き。
だから今は、お互い根底にあるものには蓋をする。好きだと言い合って抱きしめ合えばいい。それで良い。
「俺たち…不器用だね。」
「そぉ、っすね。」
「獄寺君、目も赤くなっちゃったね……チュ。」
「十代目は頬がほんのり赤く……チュ。」
「へへ、いっぱい好きって言ったから…オデコ赤っ!…ペロッ。」
「十代目の唇…おいしそ……ペロッ。」
「んっ……あっ…!ちょっ…こらっ!(やばい!また耳と尻尾が生えてきた!?)」
「あまっ…ンッ、もっと…」
「だめっ!…だっ…て…ごっ…くでら…はっ…隼人っ!!」
「キャンッ!!?(ん?キャン??)」
「…ぷっ!アハハ!!確かに俺今、君が犬に見えたから思わず名前を叫んじゃったけど、本当に犬になっちゃった!?」
「ワンッ!!」
「犬の時は隼人…って呼んで良い?」
「クウゥ〜ン!」
「アハハ!!可愛い隼人!!可愛い!!」
犬な獄寺を綱吉はたいそう気に入り、髪を犬にするようにワシヨワシャと撫で回すと、隼人もじゃれて綱吉の顔をペロペロ舐め回す。
暫くして、夢中で床の上で戯れる中学男児2名を見つめてほっこりした気分……になどならない男が保健室へと戻って来た。
「よく分からねぇがお前ら、授業サボって何やってんだよ…」
呆れた呟きに驚いた綱吉が、ガバリ!と起き上がると、Dr.シャマルがつまらなそうに2人を見下ろしていた。
「あっ!あの!その、これは…えっと、怪我を診てもらおうと来たんだけど、貴方が居なくて…。でも、そんなに酷くなかったから…えっと…」
急に現実に戻されて感覚がおぼつかずにオロオロと説明する綱吉に、シャマルはため息をつくと
「怪我って隼人のそのデコか?そんなもんでいちいち来んなよ、第一俺は男は診ないって言ってるだろ。」
と、校医とは思えない発言も毎度の事で綱吉も特に反論しない。
「じゃあ…獄寺君、教室に戻ろうか?」
気まずい雰囲気にたえられずに綱吉が声をかける。
「はい!」
「失礼しました〜…」
「お〜。」
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