さな夕日 2











 当然のごとく、獄寺の反応は冷淡だった。


「はァ?寝ボケてんのか野球バカ。俺がテメェの頼みを聞くとでも思ってんのか?」
「まーまー、そー言わずに。うちの商店街でさ、若い男手が要るんだけど、なんでか俺に回ってきちまってさー。あと一人、適当に選んで連れて来いって言われてんのな」
「知るかよ、だったら雲雀のヤツにでも頼め!」
「いや、雲雀にはさせらんねー」


 さらっと真顔で答えた山本に、獄寺のこめかみがぴくっと動いた。眉間のシワが、常よりも深くなる。


「上等じゃねーか‥‥。雲雀にはさせらんねぇような用事を、俺に持ってくるってか‥‥?」
「いや、やってみりゃわかるって。俺、前にもやったけど、惚れた相手にはさせらんねーわ。そもそも、今日は風紀の用事で、雲雀は留守なんだよな〜」
「知るかよ!俺だってやらねーよ!」


 当然といえば当然だが、獄寺の態度は頑なだ。ここで山本は、伝家の宝刀を持ち出した。獄寺が言うことを聞かざるを得ない、この世にニ振りとない宝刀を。


「しゃあねーな‥‥じゃ、ツナに頼むとすっかな」
「なぁッ!?」
「ツナなら快く引き受けてくれるよなー。あー、早く来ねーかな!」
「ま、待て山本!!」


 お?と楽しそうに、山本が獄寺を見た。上手く乗せられた感はあるが、この大雑把な男が恋人にはさせられないとまで言った用事‥‥‥。まだ内容はわからないが、獄寺にとってもおそらくは、同じようなものだろう。


「じゅ‥‥10代目にテメェの用事なんざさせられねぇ。仕方ねぇから、俺がやってやる‥‥!」
「マジか!?サンキュー、獄寺!」
「仕方なくだぞ!?言っとくが10代目には内緒だぞ!?」


 わかってるわかってる、と繰り返す山本は、至極満足そうだった。この日の放課後、獄寺は自分の判断はやはり間違いではなかったと、複雑な自賛をすることとなる。




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ー02ー

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