ツナツナパニック★ 5










「舐めときゃって…」呆れながらも手を振り解くのは無理だと判断し、獄寺に握られて重みのある手を持ち上げ、前髪をかき上げて怪我を見る。
「あ〜、うん、確かにこれくらいなら舐めとけば大丈夫かもね。(オデコ出てる獄寺君…可愛い…)」安心したようにクスクス笑いながら身をかがめると





…ペロッ。





と獄寺の傷口を舐めた。




「………………………」


「………………………」


「…え?……夢?」

「夢?」

「じゅ、だいめ?今…」

「え?…あ、…うっ…わあぁぁぁぁっ!!

(何しちゃんってんの俺!!)

だ、だって、だって!!

獄寺君がっ舐めときゃ治るなんて言うから!!

あぁぁぁー!もぅ今の忘れてぇー!!」


「無理っスよ!!一生忘れませんから!!」


耳まで真っ赤にさせて慌てふためく綱吉を見て獄寺は今のが夢じゃないと実感し、この場から逃げようとする綱吉の手首を少し強めに握り、自身に近づける。



「まだ、少し痛いんでもう1回舐めて下さい!!」


「んなぁっ!!?」


耳と尻尾を生やした獄寺はキラキラビームを綱吉に放つ。



自分の意志でもう1回同じ事なんて出来るわけがない!!パニックに陥りながら必死に逃げ道を探す綱吉。


(…あ、そーだ!)


「そもそもこの怪我、どーしたの!?さっき!俺を避けてるみたいに…様子がおかしかったし…」


無理やりだが話題を逸らして獄寺の願いを流すと、流されたと気づいた獄寺の耳と尻尾が垂れ下がる。


しかし、綱吉からの質問を遮るわけにはいかないし、怪我と目を合わせずらくて逸らしていた話は繋がるので正直に

「…屋上に居たんですが…」
と話しはじめ、無意識なのだろう

「…何事も無かったから良かったものの…貴方の右腕だと大口たたいてるくせに肝心な時に居なかったかもしれないと思うと…貴方に合わす顔がなくて…」
と話している時は一層綱吉の手首を握る力が強まった。


(手首…痛いな…指輪が余計に…。だけど、その痛さが少し嬉しかったりして……って何考えてんの!?さっきからなんなんだよもー!!)


自分の思考があらぬ方向に行くので内心まだまだ慌てるも、獄寺の考えに少し複雑な気分になり

「やだな、教室の移動中に何かあるなんて脅かさないでよ〜!」
と、おどけてみせる。
綱吉は自分がそんな危険に晒されている状況をまだ認めたくない。マフィアのボスなんて。





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ー05ー

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