ツナツナパニック★ 4
授業中の為、静かな廊下を2人で歩く。
正確にはまだ獄寺は綱吉に引っ張られながら。
連れ出された獄寺には先ほどの混乱や、まして怒りは無く、あるのは目に見える炎こそ無いものの、戦いの最中に見せるあの凛とした姿で自分の腕を掴みズンズン前を歩く綱吉へのトキメキだ。
少し怒っているのが気がかりだが、先ほどのやり取りはどう考えても全て綱吉が自分の為にしてくれた事。
怪我のことはもちろん、後ろから抱きつかれるなんて…そして普段なら絶対に有り得ない教師への態度。そして自分を力強く引っ張り歩く。申し訳なく思いながらも心臓がバクバクと高鳴るのを止められない。
先ほどぐるぐる渦巻いていたモヤは何処かへ消え去っていた。
保健室の前まで来るとドアを軽くノックして中を覗く。Dr.シャマルは不在のようだ。先ほど授業で女子がテニスをしていた気がする。きっと
「怪我したらすぐに診てあげられるように」
とか何とか言ってコートまで女子を追いかけて行ったのであろう…
綱吉は軽くため息をつくと
「寝てる人も居ないから勝手に借りよう。」
と獄寺へ椅子へ座るように促す。
そこでやっと家庭科室を出てからはじめて獄寺を見る。
見て、驚く。
さっきは調理室なのにダイナマイトを出さんばかりに怒っていて、鎮めたものの廊下を歩いている時に一言も発さない事から色々不満があるのだろうと思っていたのに、椅子に座り、自分を見上げてくる彼の瞳はキラキラしている…ピンっと立った耳とパタパタ振られている尻尾が見えるのは気のせいだろうか…。
腕は先ほどまで自分が獄寺を掴んでいたはずだが、今は立っている自分が椅子に座った彼に両手首を掴まれている。
驚きによって目をパチリと瞬けば、そんな仕草に綱吉だけに見える獄寺の耳がピクンッと動いて目を細め、だらしなく顔が緩んだ。
「ごっ、獄寺君?」
「はい!何でしょう!十代目!!」
呼べば「ワンッ!」と言わんばかりに良い返事をする。
何だか先程のことが無かったかのような雰囲気に綱吉は少し疲れを感じたが、何故ここへ来たのかを思い出し
「獄寺君、ちょっと手を離してくれる?消毒液とか取りたいから」
と言うが
「嫌です!離したくありません!こんなの舐めときゃ治ります!」
とこれまた素晴らしく破顔させて良い返事をする。
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