言葉を形にする方法 4








降ってきた言葉にパッと顔を上げる。


「獄寺君…やっぱりさっきの…聞こえて…」綱吉が言い終わる前に獄寺は、頬にそえていた手をスルリと綱吉の後頭部から柔らかな髪の中へ滑り込ませ固定すると、逆の手で綱吉の腰をグッと引く。

綱吉は慌てるも、固定された身体は全く動かずに、視線さえも緑の光にロックされる。


「おれ、自惚れちまってもいいんすかね?いや、否定されても、もぅ無理なんですが…」
獄寺は告げると、先程の言葉をまた繰り返し、綱吉の目の前に白い言葉を見せた。



はじめこそ気が動転していた綱吉だが、白い言葉とその後ろの人を見つめ、温かな感情に後押しされてそっと囁く。

「ありがとう、獄寺君。でも狡いよ、俺の言葉取るなんて」

「っ…!すみません…でも、俺も同じ事を思っていたから我慢出来ずに…。でも、じゃあ俺、十代目の言葉も見たいっす。」


「駄目ですか?」と少し困った笑顔を向けられれば断れるはずもなく、さっきは言う相手が居なくて宙をさまよっていた言葉を、一番伝えたい相手の目の前に形作る。




「寂しいよ、獄寺君。。。

早く帰ってきて。早く逢いたい。

ねぇ、獄寺君。好きだよ。」




甘く、自然と強請るように囁かれた言葉に獄寺がたえられるはずもなく、綱吉の薄く開いた唇を自身のそれで塞ぐ。


目の前の白さえも自分の物だと言わんばかりに迫られ、一瞬身体をこわばらせたが、重なる瞬間には腫れ物に触るかのような優しさに安堵し、何とか獄寺の拘束から腕を抜き、彼の腰へと手を回す。



「ふっ…ンっ……ぅんっ…」


「はっ……じゅっ…だぃめっ……」



互いの熱を分け与えるような優しいくちづけは、冷えた身体をゆっくりと溶かしていく。薄く目を開けば、お互い見つめ合い、だんだん気恥ずかしくなりクスクス笑い合う。


ちゅっとリップ音をたてて唇を離すが、名残惜しくて獄寺は綱吉の顔中にキスを降らせながら囁く。
「十代目は、何もかも甘いっす。今度からコーヒー飲む時は思い出しちまってヤバそうっす」

「…こぉひぃ?」突然出た単語にまだトロンと呂律の怪しい綱吉は首を傾げたが、ハッと何かを思い出し声を上げた。
「カッ、カフェオレ!カフェオレだよ獄寺君!!大変だ、今何時!?」

「カフェオレ?甘いわけですね。」と、まだまだおっとりな獄寺に慌てだした綱吉は再度時間を問うと21時。


随分長いこと此処にいた気がしていたがそうでも無く安堵したが、帰りが遅くなっていることには変わりない。
「帰りたくないけど帰らなきゃ!」と慌てる。
だが獄寺は綱吉の「帰りたくない」に歓喜し、「離したくありません…」と綱吉の首筋に顔を埋めてしまうのだが…











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ー04ー

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