言葉を形にする方法 2








疲れていたために寝てしまい、夜にふと目をさます。窓を開ければ銀世界。
月明かりと街の明かりが絶妙で、昼間の並盛とは一変していた。


「うっわぁ…綺麗。」つぶやいた言葉は空中で白くなる。
こんなふうに白くなるのは大気の汚れのせいだとか何とかテレビで見た気がするし、この時期はいつもこの状態ではあるけど…この景色の中に舞い上がる白は特別に感じる。言葉が目に見えるようで、嬉しくなった。



暫くして空腹感に気付き下へ降りる。
時計を見れば20時。
夜中というわけでは無いがチビ達も昼間の疲れですでに眠っていて、奈々はチビ達の手袋を楽しそうに編んでいた。

ふと、銀世界の夜道を散歩したいな。と思い立ち、「何か作ろうか?」と言った奈々へ「編み物を続けて、雪道を散歩もしたいからコンビニに行くよ。」と告げるとジャケットを羽織り家を出る。

少し遠回りをしながら家から2番目に近いコンビニまでサクサク雪道を歩く。


コンビニで肉まんとホットカフェオレを買うと、また来た道を辿る。
熱々の肉まんが無くなりかけた頃、近所の公園にさしかかり、もぅ少し外にいたくて足を踏み入れた。



小さすぎず大きすぎずなその公園は、子供達が帰った後に降った雪のおかげで足跡一つ無い綺麗な雪原になっていた。


自分の為に特別に作られたと錯覚しそうな雪原の道なき道を中央まで歩き立ち止まり、自分にすらちゃんと聞こえない程の声で、それでも今の気持ちと彼の名を白く形にする。



何度か繰り返す。



最後に大きく息をはき、空を見上げればまっ白な月。



「落ちてきそう…」







「それは、困りますね」





はっきりと言った言葉ではあるが、独り言として呟いた言葉に返事があり、綱吉は驚いて振り向くと、雑誌を切り抜いたかのように絵になりすぎている男が雪原に立っていた。






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ー02ー

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