めるもの 2
「…けんなっ!!…じゅうだ……!!」
「……やめっ……………よ!」
「おいっ!……って…ツナは……」
(ドアの外が騒がしい。
俺のことで獄寺君が怒ってる?
不謹慎だけど、ちょっと嬉しいや。
早く、逢いたいな…)
デスクに突っ伏していると、微かに廊下での騒ぎが耳に入ってきた。
何事かと驚くものの声の主は知る人達で、その中でもひと際大きな声は今一番聞きたい人の声だった為に、綱吉は慌てる事無く動かない身体をそのままに、扉が開かれるのを待った。
けれど、しばらく待ってもドアは開かれない。
外のやりとりからすれば、昔より落ち着いたとは言え勢いよく彼、今一番逢いたい獄寺隼人が入って来ると思っていた綱吉は不思議に思い、辛い身体に鞭打ってドアへ向かった。
そしてドアノブへ手をかけて手前に引く。
しかし、ドアは開かれない。
こんな事は今までに無く、少し混乱してガチャガチャとドア押したり引いたりする。
しかし、外から鍵をかけられたらしく開かない。
力を入れてドアを蹴破ろうかと思うが、呼吸がままならない今の状態では躊躇する。
自分が部屋に居る中で鍵を閉めるなんて事が出来るのはあの黒スーツの男…正確にはその男がいつも連れているカメレオンが鍵穴に入り、細工か何かしたのだろう。
(リボーン…今度はいったい何を…)
「10代目!!!」
黒スーツの男、リボーンにはいつまでたっても振り回されっぱなしだ。と心の中で悪態をついていると、獄寺の声がすぐ傍で聞こえた。
ドアの前に居る気配がする。
「10代目!そこにいらっしゃるんですね!?お身体の具合は!?」
さっきまで騒いでいた声ではなく、心底綱吉を心配する少し情けない声に綱吉の口元が一瞬緩むが、何故ドア越しにしか声を聞けないのか分からなく苛立ち、無駄だと分かっていながらも再度ドアをガチャガチャと揺らす。
そして、獄寺へ声をかけようと口を開き、息を吸い込んだ拍子にまたむせ返り咳をした。
咳が外まで聞こえたのだろう、獄寺が無理をなさらないで下さい!と焦っている。
綱吉は心配させないよう、今度はドアをコンコンと叩いた。
「10代目…落ち着いて、聞いて下さい。」
深刻そうな獄寺の声が聞こえるが、それはどちらかと言うと綱吉ではなく獄寺自身が落ち着こうと自分に言い聞かせているように感じ、綱吉は優しくドアをコンッと叩いた。