「俺は浮かれてて、沢田さんがどう思うかを考えてませんでした。逆だったら、仕事と言っても沢田さんが誰かの手を握って誰かの事だけを考え続けたら…辛い…っすね。。。だから、考え無しにこんなことをしてしまってすみませんでした」
「…いえ、それは俺の我が儘だけだから、ほんと俺の方がすみません」
「…でも、不謹慎だけどすっげぇ嬉しかったんです。沢田さんが嫉妬してくれるなんて。だから、ありがとうございます。ちょっと感極まっちまって…」
獄寺さんはそう言って少し恥ずかしそうに微笑んだ。
さっきの震えや涙はそのせいみたいだ。でも、気になることがもぅ1つ。
「さすがは?さすがは何のことですか!?」
「さすがは、沢田さんのおかげでこのボンゴレの企画自体を中止した方が良いと分かったからです」
「えっ?えぇぇ!?なっ、何でそうなるんですか!?俺、そんなに…」
「違うんです沢田さん。落ち着いて」
慌てて俺も立ち上がってしまったので、立ったままだった獄寺さんが座るように俺を促し、獄寺さんも座った。移動してきて俺の隣の椅子に。
「沢田さんの言う通りなんです。」
何が?さっぱりわからない。
言葉も出ずにただただ獄寺さんを見てしまう俺の髪をゆっくり撫でながら獄寺さんは続きを話す。
「さっき『ボンゴレの客は、みんな綺麗で自分みたいに爪の手入れをちゃんとしてない奴なんていない』って言いましたよね?」
「うん」
「沢田さんが爪の手入れうんぬんは、さっき言った通り男はそんなもんすよ。ただ、うちのお客は確かに年齢問わずにサロン通い、もしくは自宅によこしてネイルをする人ばかりなはずです。だからネイル系の事が喜ばれると企画されましたが、告知をしたとしても俺らのネイルをやるためにわざわざその時のネイルを落としてくるか?って事です」
「あ…」
「金かけて綺麗にしてるのに、わざわざ落とす奴はいませんよね。何もしてないお客がいるかもしれないけど、割合的には厳しい。だからこの企画はボツです。俺、企画部に電話してきます」
そう言って獄寺さんは寝室へと行ってしまった。
ー05ー
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