沈黙が怖い。
手から伝わる獄寺さんのぬくもりだけが唯一の救いのような気がして、意識を手に集中したその時、獄寺さんの手が微かに震えていることに気付いた。驚いて獄寺さんを見る。
でも獄寺さんはさっきまでの俺のように俯いていて表情を伺えない。更に不安が募る。
「あ、あの、変な事ばっかり言ってごめんなさい!ボンゴレのお客さんて、みんな綺麗な人ばかりだから、こんな爪の手入れもちゃんとしてない奴なんていないだろうから…ちょっと恥かしくなったりもして…その…あの…」
完全に空回り。
自分が何言ってるのかも分からなくなってきた。
俯いたままの獄寺さんを見ていられなくて視線を外しかけた瞬間…
「さすが沢田さんですっ!!!」
獄寺さんは大きな声と共に、ガタンッ!!と椅子から勢いよく立ち上がった。
繋いでいた手を離してくれてないから、俺は腕を持ち上げられた状態で獄寺さんを見上げるしかない。引っ張られた腕が少し痛い。
「あっ、あの…?」
「あぁ!すみませんっ!!」
俺の表情に痛みが出ていたんだと思う。手に気付いて解放してくれた。
けど、今度は視線を捕まえられた感覚に陥る。
その瞳はうっすらと水の膜が出来ていて外からの光りでキラキラと…新緑に雫が綺麗で、そらせなくなる。
「沢田さん、すみませんでした。でも、ありがとうございます」
「え?」
怒らせたとばかり思っていたのに謝られて、ましてやお礼を言われる理由が分からない。
そんな俺に獄寺さんは優しく微笑んだ。
ー04ー
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