んな日にも2-10














ここまで言われてしまうと、本当にに自分がケチな男に思えてくる。
沢田さんはおくゆかしい人だからきっと一泊旅行だけでも恐縮して、でも喜んでくれると思う。
だけど、そりゃ俺だってもっと…そぅ、海外くらい連れて行って2人っきり、夕日沈むサンビーチで肩を抱いて、時折恥ずかしそうに見上げてくる沢田さんの瞳にはまばゆいばかりの光が差し込み、この世のどんな宝石よりも綺麗で…
そんな瞳に吸い寄せられるように顔を近付けると、瞳は一瞬揺らめいて、でもその光を俺の影が覆い隠すと沢田さんは頬を染めながらゆっくりと瞳を閉じ、俺は薄く開いた唇へと…





「……いっ!おい!獄寺!!」

「っえ?…あ、リボーン…さん」

「あ、リボーンさん。じゃねーぞ馬鹿が!」

「すっすみません!(やっべー、俺今完璧に夢の国行ってたな…)」

「まぁいい、そんだけ妄想に浸れるならプランは完璧だな。後は休みの確保だぞ」

「あ…あの(結局のところ、俺が拒否したところで結果は変わらないんだ。休みの為にも…)は…い。俺、やります」

「良かった!さすがリボーンだわ!!」

「じゃあ、撮影は来週の土曜の夜だ。場所はこの紙に書いてあるから仕事終わったら来い」

「え?土曜…?」

「何か問題あるのか?」

「あ、いえ…。向かうときに一度連絡を入れます」


クソッ!よりによって土曜ってのが最悪だ。
沢田さんのお母様との約束で、泊まりに行くのは翌日学校が休みの日だけ。
そして平日は学校とバイトのある沢田さんに負担をかけないように逢わない事にした。
俺としては夕飯だけでも…と思うが、無理して泊まりまで禁止になったら元もこもない。

だから土曜は唯一逢える日で、なるべく一緒にいられる時間を多くしたいから仕事が終わるといつも速攻で帰ってたってのに。
こうゆう撮影だ、1、2時間で終わるわけがねぇ。きっと朝方になっちまう。
そうしたら、良くて朝メシを一緒するくらいだ。


「なぁに、隼人。彼女との約束でもあったの?」
思わずしかめっ面になった俺を見てビヤンキが聞いてきた。
この時の俺の頭の中は、土曜はそのまま仕事で帰れないと伝えたら、沢田さんが
「仕事なら仕方ないですよ」
と、寂しげな微笑みを浮かべるのを想像し、いっそ仕事の内容を話そうか、でも引き受けた理由を聞かれたらこうゆう仕事が嫌な俺が受けたのは自分のせいだと、休みを素直に喜んでくれないだろうか…。
と、沢田さんの事で頭がいっぱいで、聞かれている事を考えずに軽く流して答えてしまっていた事に直ぐに後悔するはめになった。







ー10ー



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