んな日にも2-8














そう、サイズが合わないから俺の服なんか着た日には悶え死ぬかと思った。
あれはテロだ!!

初めて泊まりに来た時にパジャマが無いと言って俺のシャツ着たら袖なんか余りまくって、折り返してあげたら口を尖らせて
「なんか悔しい」とか言うから
「俺の方が悔しいです!!」と叫んだら意味わかんないって言われた。

俺もわかんねぇ…ただ、なんでこんなに可愛いんだちくしょー!…みたいな?ほんと意味分からん。

もちろんいつだって俺のダボダボの服を着て、下のズボンなんてはかなきゃいい!!
と思ってはいても、そんな事は口が裂けても言えず。
今はパジャマ変わりのTシャツや、ある程度の日用品は持ってこなくてもいいように沢田さん用の物が俺の家に置いてある。


「んで、沢田さん。OKですよね?」

「1度、やってみるよ。けど…!」

「嫌だったらすぐやめるから安心して下さい」

「…うん」

「さて、一安心したところで俺はそろそろ仕事行く準備しますね」


言ってソファーから降りて寝室へ入る。
もちろん手の中にはデジカメ。
中身を消されずに奪還出来て良かった。
デジカメを机の引き出しにしまい、仕事用に着替える。
ガッツリ着飾るわけじゃねぇけど、比較的客の多い土日は新作を中心にいつもよりは多少気合いを入れる。
今までとそれは変わらないが、今は違う意味で気合いが入る。
それは…


ガチャ…


「それじゃ、沢田さん…」

「う、うん…」


寝室からリビングに戻ると沢田さんはいつもこの瞬間が楽しみらしく、目をキラキラさせて俺を見上げてくるからだ。

ボンゴレの服を着て、髪を軽くセットしてアクセサリーを着ける俺の姿に、ぽ〜っと頬を染めている。

自分で言うのもなんだが、まぁそれなりの容姿をしてるから、格好いいは言われ慣れてる。
むしろそれでキャーキャー群がってくる奴らがウザい。
だけど、それもこの人に思われて見つめられるのなら親にさえ感謝しよう。
どうしようもねぇくらい嬉しいから。


「そんなに見つめられると穴が空いちまいそうっすよ」

「あっ!うわっ、ご、ごめんなさい!」


お互い恥ずかしさを誤魔化すように笑いあいながら玄関へ歩いて行く。


「じゃあ俺行きますんで、好きな時に帰って下さいね」

「うん、いってらっしゃい」

「はい!行ってきます!また来週……チュッ!」


腰を引き寄せて額にキスを落とす。
キュッと目を瞑った沢田さんが下から小さく
「また、来週…」と呟く。
至福の時なのか、残酷な別れの瞬間なのか、この曖昧な一瞬はいまだに慣れないが、ドアが閉まる瞬間の沢田さんの表情が、多分俺の今の表情と同じである事が救いの様に思えるから、きっと至福だ。







ー08ー



[back]|[next]




back








.
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -