「沢田さん、お願いがあります」


いつも通り週末に獄寺さんの家に遊びに来てお昼を食べ終えて片付けを済ませてソファーでまったりしようかとゆう時に言われた言葉に獄寺さんを見ると、少し困ったような顔をしていた。
まぁ、理由を聞かないことには始まらないので素直に頷く。


「うん、俺に出来ることなら聞きますよ」

「…もし嫌でなければ、手を…いえ、爪を貸して頂きたいんですが」

「は?」


手を貸す。って言い方はあるけど、爪を貸すなんて聞いたことがなくて意味が分からないとゆう顔をすると獄寺さんは
「ちょっと待ってて下さい」
と言ってリビングを出て直ぐに小さな手提げ袋を持って戻り、俺をテーブルの椅子に座らせて自分は俺の向かいに座り、袋からマニキュアを出して見せた。

獄寺さんは小さなマニキュア数本と、俺には何に使うのか分からない液体のボトルや、スプレー、定規みたいなもの、コットンなどなどをテーブルに並べた。

これを見れば“爪を貸して”の意味は分かる。だけど…


「次回のボンゴレのノベルティ企画で“お客様にネイルサービス”とゆう案があって、ネイルをプレゼントするだけでなく、スタッフがお客様にネイルする。とゆうのが売りになるので、ネイルの練習をさせてもらいたいんです」

「俺にマニキュアを塗るんですか?」

「やっぱり嫌…ですかね…。もちろんすぐ落としますから!」

「ってゆうか、俺なんかに塗ったらキモくないですか?」


困惑が顔に出てたんだろう、獄寺さんは直ぐに説明をしてくれて、内容には納得した。それにもちろん獄寺さんの手伝いはしたい。けど、生まれてこのかた一度も経験が無い上に完全に女性のものとの認識が強くてさすがに抵抗があるから拒否してしまったが


「そんなわけありません!!誤解せずに聞いて下さい!沢田さんの手は男にしておくには勿体無いくらい可愛いんです!」

「なっ!」

「それに!顔だってそんなに可愛らしくて体つきも…そこら辺の女よりめちゃくちゃ可愛いんすよ!!」


獄寺さんは少し興奮気味に熱弁してきた。彼が俺の事を可愛いと言うのは今に始まった事ではない。だから知ってる…
“俺の事が可愛い”を取り消してくれない事を。
若干暴走気味になる事を。



そんな彼が嫌いではなく、むしろ弱い自分を。



「はぁ。分かりました。明日帰る時までには落として下さいね?」

「はい!ありがとうございます!!」


了承すると獄寺さんは満面の笑みで俺の手を握った。







ー01ー

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