んな日にも2-5
「変態!ストーカー!!」
と叫ばれピシッっと身体が固まり、沢田さんを見やると更に
「あ〜あ、俺獄寺さんのこと信じてたのに、裏切られた気分。ごめんね瓜、今日はもう帰るね?」
とか言うもんだから俺は大慌てでソファーにかけより沢田さんの前に膝をついた。
「さささ沢田さん!!ごめんなさい!!帰らないで下さいっ!!」
すると沢田さんは俺に「ん。」と右手を差し出す。
デジカメをよこせってことなんだろうけど、正直渡したくない。だが、渡さずに本当に帰ってしまったら来週来てくれるかすら不安になり、仕方なく握りしめていたデジカメを沢田さんの手のひらに乗せるよりほかない。
沢田さんがカチ、カチとデジカメを操作して画像を見ていく音、普段なら聞こえるか聞こえないか程の音だけが今はやたら部屋に響く。
沢田さんは無言で無表情。
沈黙に堪えきれずに俯いた先にある沢田さんのズボンを握り、何とか許してもらえないかと悲願する。
「あの…黙って撮ったのは本当に申し訳ないんすけど…画像…消さないでもらえませんか…」
「……………………」
「数枚でいいんで…」
「……………………」
「すみません…」
「獄寺さん、この前もう勝手に撮らない。って言いませんでした?」
そう、先日も同じ様な事で怒られたばかりだった。
先週は付き合える事になっての1カ月記念だったので、モチーフ違いでお揃いの携帯ストラップを贈った。その時に沢田さんが俺の携帯の待ち受けが何かと、パッと俺の携帯を奪って開いた。沢田さんに悪気が無いのは分かってるし、俺だって折を見て話すつもりだった。それより先に何も言ってなかったのが悪かったのは分かってる。
俺の待ち受けは…沢田さんの寝顔。
多分沢田さんはその時の1枚だけと思ってるだろうが言わずもがな、毎週更新。
「その話はしましたけど…」
「けど?」
「沢田さんが“勝手に撮るな”と言われて、俺は“すみません”としか…」
「なっ!!そんなの屁理屈ですよ!!」
「はい、すげー子供じみた事言ってるのは分かってるんですが、逢えるの週末だけなんすよ!?面と向かって撮ろうとしても沢田さん逃げるし」
「そ、そーだけど…」
「沢田さんだって待ち受け俺じゃないっすか」
「うっ…」
「俺だけあなたの写真無いのは不公平です!俺の癒やしを取らないで下さい!!」
「いっ癒やしって…」