んな日にも 43











"コレ"とは、この体勢の事。


「はい!嬉しさを身体いっぱいに表現してみました!!」


獄寺さんは元気よく返事をすると、またギュウギュウと俺を抱きしめた。さっきの言い方だと、また俺が床を引っ掻かない為でもあるんだろう。チラリと顔を上げると、綺麗な顔をふにゃりとさせて微笑まれた。

あ〜あ、綺麗な顔が台無し。それに…獄寺さんの心臓が俺と同じ位速く動いてて、俺に触る手は微かに震えてる。
慣れた仕草ばかりと思ってきたけど、本当に俺なんかを…すっ、好きで…いつだって大切にしてくれていたんだ。それが今ハッキリ分かるから、獄寺さんの言葉が本物だとやっと疑わずに受け入れられる。


まぁ…、正直何で獄寺さんみたいな人が俺なんかを?と今でも思わずにはいられないけど。


「はぁ〜…」

「沢田さん?」

「俺達、その…両思い。って事?」

「…っ!!ああぁぁーもー!なんでそんなに可愛いんすか!?絶対俺と付き合って下さい!!」

「え!?あ、…はい」


何だかヘンテコな告白で驚いたけど、見上げれば獄寺さんの綺麗な碧色の瞳の中に俺が居る事に酷く安心して、頷いた。そして






ちゅ…






獄寺さんが一瞬間近に迫り、可愛い音と共に離れていった。鼻先に少し残った痺れ。


「…ぁっ」

「さぁ、そろそ…」



キュウ…キュルルルルルル…



「っ!?///」

「プッ!…コホンッ!!そろそろお昼食べましょうね!!」


獄寺さんは俺を抱いたまま部屋を出てさっきのリビングに戻ると俺をまたソファーに降ろす。
あぁぁぁ俺の馬鹿!!何で今のタイミングで腹が鳴るかなぁ!?恥ずかし過ぎる…。


「ご気分は大丈夫ですか?パスタ食べれます?」

「うん、全然大丈夫です。安心したらかなり腹減ってきました」


恥ずかしくて俯いたんだけど、多分さっきの事を心配して獄寺さんは聞いてくれた事に少し罪悪感がある。さっき気分が悪いと言ったのは半分仮病だったから。


「では、少し瓜の相手をしてやってて下さい」

「え?」


言って獄寺さんがキッチンへ入ると、代わりに瓜がソファーに飛び乗ってきて、俺の顔を舐めようとした。


「あ!駄目!!」


思わず瓜を掴んで止めてしまった。だってさっき、獄寺さんに…鼻先に…キス、された。何となくまだ残しておきたい。


「ごめんね瓜。遊ぶのが嫌なんじゃないよ?何かオモチャとかないの?」

「にょお〜ん」


瓜は俺の手から降りて行ってしまった。機嫌損ねたかな…?










ー43-



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