んな日にも 42
スッと顔を上げると沢田さんと目が合う。怖がられないように微笑むと、フイッっと顔を反らされてしまったが、俺は沢田さんの顎を掴んでこちらに向かせると、しっかりと目を合わせて言う。
「俺は、沢田綱吉さんを愛してます」
「……………………」
「こんなに早く言うつもりは無かったんですけど、あなたがこんなに頑張ったのに、俺が逃げるわけには行かないですよね」
俺がそうだったように、沢田さんは驚きに満ちた顔で止まってしまった。
俺は顎に添えていた手を滑らせ、高校男児とは思えない滑らかな顔や髪を撫でていく。
「俺の言動が紛らわしかった為にあなたを苦しめちまって本当に申し訳ありません。俺は、あなたより先に…と言うか一目惚れに近い状態で好きになりました。でも、年の差だとか…男同士だとか考えると、あなたが俺にボンゴレのモデルや店員としての憧れだけで近付いて来てくれてるとしても…そこにつけ込むことが出来ても、無理やり心を奪いたくは無かった…」
沢田さんが片手を服から離して彼の頬にある俺の手を柔らかく握った。
その時始めて自分の手が震えてる事に気付き、同時に"あぁ、この人にはかなわねぇな。"と思い、微笑みかけながら話を続ける。
「でも、どんな形であれあなたの傍にいたいと思った矢先に、あなたはご自分で気付かない中でも俺への恋愛感情を示してくれた。だから、あなたの中に俺を入れて欲しくて…けど、冷静でいるつもりが全然浮かれてた為にやり過ぎた言動であなたを悩ませちまったんですね。もちろんさっきみたいな事を軽々しくやりません。あなたが愛しすぎての暴走です。笑ったのは、あなたを傷つけた自分の浅はかな行動に対してで、決してあなたにでは無かったんです」
「…だから、ベットを降りた時には辛そうな顔を?」
「えぇ。さっきの事、許してもらえますか?…あなたを愛している事、信じてもらえますか?」
「ん〜。話を聞いて色々スッキリしました。ただ…」
「ただ?」
沢田さんは、手は握ったままだが顔を俺の体に傾け俯いてしまったので、またゆっくり揺りかごのように身体を揺らして話を促す。
「俺、かなり取り乱してたから、もっと早く言ってくれたらこんな風にならなかったんじゃないかと思うと、かなり恥ずかしいんですけど」
「すみません。でも俺は嬉しかったです。もちろん、俺のせいであんな風にしちまって辛かったです。でも、それだけあなたの気持ちが本気で俺に向いてるんだと分かって、嬉しいんです」
「もしかして、だからさっきから嬉しそうにコレなんですか?」