んな日にも 39












頭も身体も一気に冷めていく。
石の様に硬く重たい身体…違うな、離れたくないと必死に抵抗する身体だ。こいつをどうにか沢田さんの上から引き剥がす。

ゆっくりとベッドから降りて沢田さんを伺うと、俺に抑えつけられていた大勢のまま呆然と天井を見上げて静かに泣いていた。




「…頭、冷やしてきます…」
やっとの事でそれだけ言うと、沢田さんは錆び付いた玩具のように首だけギギギ…と動かし虚ろな瞳で俺を見た。けれど俺は胆を返し寝室のドアを開ける。
すると待ってましたとばかりに瓜が足元を通り抜けベッドへ飛び乗った。追い出そうかと思ったが瓜は沢田さんの頬を静かに舐め、沢田さんはやはり錆び付いた玩具の様に片手をゆっくり動かして瓜の背中を撫でた。

俺はいたたまれなくなり寝室から出てドアを閉めると、そのままドアに背をつけてズルズルとしゃがみ込んでうなだれた。

















キシッ……




10分?30分?1時間?どれくらいの時間が経ったのか分からないが、何も考えられずにたださっきと変わらずドアの前に座り込んでいると、中にいる人の動く気配がしてビクッと肩が跳ねた。
その人がドアに近づいてくるのが分かる。分かるが身体が動かねぇ。



トンッ……カリッ……カリッ………


やがて中の人はドアの前に座った。瓜も一緒に来たのか、ドアを引っ掻く音がする。
ゆっくりと軋む身体を動かして立ち上がり、ドアのぶに手をかけた…けれど開けられずに立ち竦む。


「ごく、でら…さん…」

「は、はい…」


微かに声が聞こえて返事をする。喉がカラカラで話しづらい。中の人、沢田さんもそうなんだろう、声が掠れている。


「…俺、やっぱり分からないんです…。あなたが俺に優しくしてくれる理由が」

「…っ!それは!」

「可愛いって!愛しいって何ですか!?あなたはっ!!…そう、思った相手みんなに…こんな事…するんですか…?」


俺が思わず叫んだ事につられるように沢田さんも声を荒げたが、掠れた声が痛々しく語尾はどんどん小さくなっていた。
確かに、さっき沢田さんに言った意味合い的な可愛い、愛しいと思う相手には尽くす意味で優しく接するだろう。けど、押し倒したり…しない。


ん?この言い方、まさか…










ー39ー



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