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毛繕いも終わりミースと揃って日向ぼっこなんかをしていると、扉がドンドンドンと激しく叩かれた。
「誰だろうか?」
ミースが顔を上げ、のそのそと扉に向かって歩き出した。
扉の鍵をミースが開けた瞬間、凄い勢いで扉が開いた。
ビタン! とミースが扉に叩きつけられる。
「キンラ!」
「お前……」
レイスだった。
どうして俺がここにいるのが分かったのか。恐ろしい。
「キンラ、なんでミースなんかと!」
まるで自分がこの世で一番不幸だとも言いたそうに目を涙で一杯にして、悲壮感たっぷりに叫ぶレイス。
私が黙っているとさらに涙を貯めて、口ワナワナと震わせる。なんとも大げさなやつだ。
扉に目を向けると、ミースがぺちゃんこに潰れている。慌ててミースに私はかけよる。
「ミース! 大丈夫か!」
「う〜ん…」
「レイス! なんてことをするんだ!」
きゅーと苦しそうに鳴くミースに、私はレイスに文句を言った。
「ど、どうしてそんなこと言うの。ぼ、ぼ、ぼくよりミースが好きなのぉぉぉ」
レイスはわーっと泣き出した。
「な、泣くな! みっともない!」
「だ、だって、キンラがおこるんだもん…」
「お前が乱暴だからミースが怪我したんだぞ!」
そう言うと、レイスはようやくミースがのびてしまっていることに気が付いたようだ。
「み、ミース…僕そんなつもりじゃ。ご、ごめんね?」
「……うー、気に、するな」
なんとミースの優しいことか。本当に見かけと違い心優しいやつである。
「き、キンラも許してくれる…?」
しばし無言でいると、またレイスはみるみるうちに涙目なっていく。
「ゆ、許す! だから泣くな!」
慌ててそう言った。
誰かが泣くのは苦手だ
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