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「私が馬鹿だったのだ・・・」
あれから数日、怪我はすっかり良くなり、私は弟たちと仲良く暮らしている。
ただし、レイスの城でだが。
「兄様は悪くないですよぉ」
「そうです、あの魔人がすべて悪いのです」
弟たちは慰めようとしてくれているのか口々にそう言うが、私の気はあまり晴れない。
「しかしな契約を結んでしまったせいで・・・」
私が軽率にもあの馬鹿に頭を下げてしまったために私は屈辱的な日々を過ごしているのだ。
それはつまり・・・
「キンラきゅぅぅぅん! 散歩の時間ですよぉ!」
私はレイスに従うしかないのだ。
「帰れ! 変態!」
「兄様に近寄るな詐欺師め!」
扉を開けて入ってきたレイスに、弟たちはうなり威嚇する。
「いやん、こわぁい! でも、僕はキンラに用があるから。ね、キンラ?」
にやにやと笑うレイスは全く怖がっている様子はなく、余裕の表情だ。
私はレイスを強く睨みつつも、一歩踏み出した。
「兄様! そんな奴の言うことなんか無視して下さい!」
弟たちの声に後ろ髪を引かれる思いで私はレイスの元へ行った。
「じゃあキンラ、行こうか?」
「・・・・・・」
私は尻尾でやつの足を叩いた。
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