6

 不本意ながらも城での生活に慣れて、ここに来てからしばらく経った。
 レイスと朝食を共にしていると、カンカンカンと高い鐘の音が三回ほど鳴った。

「侵入者です!」

 すぐにレイスの部下がやってきて、焦った様子で叫んだ。
 私は、以前もレイスの敵が侵入してきたことがあったのを思いだした。その時も今のように部下が来て切迫した様子だったが、あっけなく侵入者は片付けられた。
 今回もすぐ済むだろうと、皿に置きかけた骨付き肉を口に運ぶ。

「相手は?」

 レイスが尋ねる。

「魔獣のようです。金色の魔獣が複数」
「金色?」

 レイスの部下の話に、私は顔を上げて聞いた。

「え、あ、そうです。報告によると犬型の金色の魔獣たちが」

 部下は驚いたように言う。
 ──きっと弟たちだ! ついに助けに来たのだ!
 私は食事を止めると、部屋の扉へと走った。弟に今すぐ会いたい。

「キンラ、待って!」

 後ろからレイスがそう叫んでいた。


******


 ギャーギャーと城内が侵入者に混乱しているようで、沢山の魔獣やら魔人たちが廊下を行き交っている。
 私はそいつたちの間を走り抜け、弟たちの匂いを必死で探す。

「どこだ!」

 私は小さく唸り、必死で神経を尖らせる。
 と、僅かにオオオと懐かしい声が聞こえた。すぐ下の弟の声だ。
 私はその声の元へと急いで向かった。
 廊下をいくつか曲がり、行き着いた先は大きな庭だった。
 弟たちはまだ見当たらない。だけど匂いはすぐ近くだ。そして血の匂いも漂っていた。

「皆、どこにいるんだ! 私はここだ!」

 不安で私は叫んだ。



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