一万ヒット記念2
朝起きてニリアがまず感じたのは違和感だった。
箪笥やベッド、なにもかもが違った。己の部屋ではなかったのだ。思わず周囲を警戒するニリア。
しかしよく注意して部屋を観察すると、己の部屋ではないがとても見慣れた部屋であることに気付いた。
ニリアの同室者、ユーシスのプライベートルームだ。
(ユーシスが俺を連れてきたのか…?)
あぁ、そういうことか、とニリアは一人納得をする。いたずらが好きなユーシスの事だ、きっと俺に移動魔法をかけたのだろう、と思ったのだ。
ユーシスは相変わらず子供っぽいなぁ、などとニヤニヤしながらプライベートルームを出るニリア。リビングにはユーシスの姿はない。
「あれ、ユーシスいないのか?」
ニリアはユーシスは部屋から出てくる自分を待っているだろうと思っていたが、違ったようだ。しかし、すぐにニリアはそれよりも重大な事に気付いた。
「あ〜あ〜…あーいーうーえーおー」
ニリアの声がおかしかったのだ。
ニリアの声にしては少し高く、そして音が柔らかい。ニリアの声は低く、威圧感があった。
(この声はまるで…)
ニリアは洗面所に向かい、己の顔を見た。そこに写っていたのは見慣れた仏頂面の自分ではなかった。
「う、嘘だろ…」
鏡に写っていたのはニリアの主人でもあり、最愛の人でもあるユーシスだった。
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