ハンプダンプ2
*****
そして後日俺は、16でも兵士を応募(義務ではない)をしてることを知り、母ちゃん父ちゃんじいちゃんばあちゃん上の兄ちゃんに下の兄ちゃんの反対を押しきって志願した。
んで、今日軍隊から兵士に合格したとの手紙が届いたのだ。
だから俺はまっさきにサデスの元へ行った。
「サデス〜!」
「あ、イシュア……」
仲直りはしてなかったけどそんなのどうでもいい。とにかくサデスに教えたかったのだ。
「ねぇ、この前は僕が悪かっ──」
「サデス! 俺も兵士になるぞ!」
「──え?」
サデスも喜んでくれるだろうと思っていた。だってサデスって寂しがりやだから俺がそばにいないと死んじゃうと思うんだよね。
「この前応募したんだ! そしたら合格だって!」
「………な」
「これでサデスと一緒にいられるぞ! お前のケツは俺が守──」
「イシュアの馬鹿っ!」
が、なぜかこうなったのである。うーん、なんで?
*****
ほっぺたの痛みは大分薄れていた。うん、これなら腫れないな。
「………イシュア」
振り返るとサデスが立っていた。
「………ぶってごめんね」
俺はつーん、とそっぽを向いて無視をする。サデスは隣に座ってくきた。
「僕はイシュアに兵士になって欲しくないんだ。だって、死ぬかもしれないんだよ?」
そんなことは知っている。
「ねぇ、今からでも断ろうよ。君は義務じゃないんだし」
「俺だって、サデスに死んで欲しくない」
弱くて体も小さいサデスなんてすぐやられちゃうに決まってる。
「だから俺が一緒にいて、サデス(のケツ)を守ってあげる。なんたって俺はサデスのヒーローなんだから」
「……イシュア」
良いこと言った。かっけぇ俺、と思わずドヤ顔すると案の定サデスは感動したようにこちらを見ている。
「……分かったよ。もう、本当にイシュアはしょうがないなぁ」
サデスは笑ってコテン、と頭を俺の肩に寄せた。
「そんな俺に夢中なくせに」
「バカ!」
サデスが俺を小突くけど全然痛くなかった。
******
結局それから16歳も徴兵されることになり、俺は何のためにサデスにぶたれたんだと思った。
終わり
そして2人はハンプダンプの冒頭へと繋がるのです。
イシュアはいつも「サデスは俺のことが大好きだもんなー」とか冗談を言っておちゃらけているけど、本当に大好きなのはイシュアのほうだったりするのです。
さて、次は素敵な魔法の短編です!
[*prev] [next#]
[back]
[しおりを挟む]