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 パソコンを見ながら椎名様は時々ニヤリと笑ったり頭を抱えたり急に机をバンバン叩き出したりと表情豊かだ。
 椎名様は結構お茶目な人で、幼なじみでいらっしゃる副会長の町田義之様に時々悪戯を仕掛けて、よくからかっているのを見る。町田様は本当に真面目な方で、悪戯された時は顔を真っ赤にして怒っていらっしゃった。そんな町田様は最近、親衛隊の真田君と恋仲になったらしく真田君が嬉しそうに教えてくれた。真田君は二年ほど前から町田様のストーカーで、犯罪スレスレの事をよくやってたけれどようやく恋が実ってそれも少し落ち着いたらしい。
 え、僕の写真は盗撮だから犯罪じゃないかって?
 ………三年間やってるけど捕まってないから大丈夫じゃないかなぁ。

「あ……笑った」

 役員の皆様と楽しそうにお喋りする椎名様を写真に撮る。
 眼鏡をかけた椎名様の写真はなかなかないので、僕は嬉しくて思わず笑顔になる。

「……ふひっ」

 レアショットにニヤニヤしていると、突然ガラッと美術室の扉が開いた。

「…あーっ、と誰かいるじゃん」
「え、あ、ほんとだ」

 入ってきたのは柄の悪い金髪の数人組だった。
 めったに人が来ないはずである美術室に人が来て僕はとても驚いた。

「あ、こいつ知ってる。会長のストーカーだ」

 中でも頭の悪そうなやつが僕を指差してそう言った。
 誰がストーカーだこのやろう。僕は親衛隊だ!

「へー。まぁいいや。ストーカーさん、俺らここ使いたいから出てってくんね?」

 嫌だね! 僕はストーカーって名前じゃないもん。
 それに、この教室じゃないと会長が観察できない。それじゃあ僕は生きてけない。

「…やだ」
「は?」
「……だから、やだ」

 僕がそう言うとギンと睨まれた。
 なに睨んでんだよ。キレるの大分早すぎると思うよ。
 カルシウム足りてないのかなぁ?



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