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僕は初めて椎名様を見た瞬間から虜になっちゃったって言うか、もうメロンメロンに溶けてしまうほど彼に夢中になってしまった。
急いで椎名様の親衛隊に入って彼の情報を手に入れて、日々の日課は椎名様の観察。おはようからお休みまで彼を見つめ続けた。
そんなことをずっとしていたら気づけば親衛隊隊長になって、
いつの間にか偉い人になってしまった。
だけど僕は親衛隊をまとめるなんてできないし、仕事はほとんど副隊長の三池に任せている。
僕が唯一することって言ったら…
「…新しい椎名様の写真集ができたから欲しい人言ってね」
日々の日課である椎名様の観察を写真にし、親衛隊員にあげることぐらいである。
「今回は沢山良い写真撮れたからいつもより出来が良い…」
「わぁ僕欲しいです! 倉縞隊長の写真って良く撮れてるんですよね〜」
「あ、僕も〜! 倉縞隊長の写真集楽しみにしてたんですよ〜!」
「……そう。じゃあ欲しい人はこの紙に名前書いといて。……それじゃ僕は椎名様の観察に行くから…」
黒板に紙を張り付けると僕は足早に教室から去る。少しでも早く椎名様を見つめたいのだ。
「……今はきっとお仕事中だ」
椎名様がいるであろう生徒会室が良く見える、美術室に僕は向かうことにした。
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凹型の校舎だから東側にある生徒会室は西側にある美術室からよく見えた。反対に言えば生徒会室からもこっちがよく見えるんだけど、役員の皆様はお仕事で忙しいから僕がこっちで望遠レンズで写真を撮ってることになんて気付いてはいないだろう。
「素敵…」
お仕事中の椎名様は眼鏡をかけ、真剣な表情でなにやらパソコンを見つめている。
あぁ、なんて麗しい…
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