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いきつく先っていったらやっぱりバー。
「もう一杯!」
もうとにかく飲んで飲んで飲みまくった。酔っぱらわないとやってられなかった。
そうして何杯目か分からなくなった酒を飲んでいる時、隣の席に男が座った。
「ハイ。かなり酔っぱらってるね、君。俺はキース」
「酔わなきゃやってらんねぇんだよ。ニコラスだ」
キースは金髪碧眼のハンサムだった。いかにも色男って感じの雰囲気だ。
普段だったら声をかけられても相手なんかしないけどその時俺はひどく酔っぱらっていたしやけになってもいた。
「ねぇ、良かったらホテルで飲みなおさないか? 部屋を取ってあるんだ?」
「ストレートな誘いだな」
はん、と俺は笑った。いかにも怪しげで危ない匂いのする誘いだ。
「乗った。行こうぜ」
「そうこなくちゃ」
だけど何度も言うけど俺は酔っていてやけになっていたんだ。だから普段だった絶対乗らない誘いにも乗ってしまった。
既にもう足元が怪しげな俺はやつに寄りかかりながらバーを出た。
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「なんてこったい…」
そして今、ガンガンの二日酔いと隣で寝ているキースに俺は頭を抱えていた。
バーを出たあとの記憶はないが、微かに痛む腰がキースと寝てしまったことを俺に嫌ってほど証明してくれた。
「やぁ、ニコラス。昨夜は素敵だったよ」
「あ、あぁ、おはよう」
起きたキースが俺にキスしながら微笑んでそう言う。
「わ、悪いがキース、俺もう行かなくちゃ」
「え、もう? じゃあ電話番号教えてくれる?」
「オーケー」
メモ用紙にデタラメの電話番号を書いてキースに渡す。もう会う気などない。
俺はとにかく急いでシャワーも浴びずに服を着ると、ホテルから出た。
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