白い腕に抱かれて1(アイーヌとユーシスでイチャイチャ)
深夜、アイーヌは寮を抜け出しブラブラと空中散歩をしていた。夜風がスゥと頬を撫で、アイーヌは心地よい気分だった。
アイーヌの趣味である空中散歩。この時間はアイーヌにとって至福の時であった。フヨフヨと宙を舞いながら遥か下の地面を見下ろす。まるで自分が世界の創造者になったような気分をアイーヌは味わっていた。
「あれ……?」
寮の周りをぐるぐると歩いていると、テラスに誰かがいることにアイーヌは気づいた。
こんな夜更けに何をしているのだろう、とアイーヌはこっそり近付いた。
そこにいたのはユーシスだった。夜空を見上げながら不安そうに佇んでいた。アイーヌはたいそう驚き、ユーシスの元へ駆け寄った。
「会長君! こんなところで何してるの? 見つかったら懲罰もんだよ?」
「あ……」
ユーシスもまたアイーヌがいることに驚いた。
「ちょっと……夜風に…」
「夜風にって…」
それならば自室のベランダで浴びればいいじゃないか、という言葉が出そうになったアイーヌだがグッとそれを呑み込んだ。
「……そっか。でも、その格好じゃ寒いでしょ? これ使って」
「あ、ありがとうございます」
アイーヌはケープを脱いでユーシスにかけてやった。思ったよりユーシスの肩は冷たく冷えていた。
「……お茶も飲む?」
「わっ! 凄い!」
ポン、と魔法でお茶を出したアイーヌにユーシスは感嘆の声わあげた。ユーシスはお茶を受け取り、一口飲むとほぅと息をついた。
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