一万ヒット記念9
トイレに近付いていくと中から声がした。人がいるようなので、他のトイレに行こうと過ぎ去ろうとしたとき聞き覚えのある声が聞こえ、俺は立ち止まった。
「んぅ…や、やめて! 触らないで!」
「ニリア様可愛いぃ! ぼ、僕のこと罵ってくださぁい! ハァハァ!」
涙声で喋る俺の声……。つまりユーシスは襲われているのか!?
そーっとトイレを覗くとそこには思った通り俺の姿が、つまりユーシスがいた。そして…
「お前かっ! こんのクソ野郎!」
「ぐはぁ!」
――俺の親衛隊副隊長のミト=シャリスもいた。
俺はすかさずシャリスに鉄拳をくらわし気絶させる。
「あ、ニリア!」
涙を流すユーシスが俺に気付き、ひしと抱き着いてくる。
「こ、この人急に襲ってきて…! こ、股間を触ってきたんだ」
「そうか…怖かっただろう。もう大丈夫だ」
ユーシスのズボンははだけている。自然とシャリスに殺意が沸いてきた。……今はユーシスの体は俺の体だけど。
「か、彼、ニリアの知り合い? 君のこと知っているようだけど」
「あぁ……。奴は――シャリスは俺の親衛隊なんだ」
「し、親衛隊!? 親衛隊があんなことするのかい!?」
「いや、奴は特別で……。なんというか、いつも俺を見ると襲ってくるんだ。俺に“罵って欲しい”って…」
ユーシスがどん引きしている。
だよな…。最初、俺もシャリスに“罵ってくれ”と言われた時はどん引きした。そしたら奴が襲ってきたものだから思わず“クソ野郎”と下品な言葉を使ったところシャリスは大変喜び、俺に付き纏うようになってしまった。
いつもなら跳び蹴りをかまして終わりなのだが、何も知らないユーシスはそうもいかなかっただろう。
俺は怯えるユーシスをなぐさめる。
ニリアside終わり。
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