一万ヒット記念3
(まずい、まずいぞ…! 一体何が起きている!?)
ニリアは軽くパニックを起こしワタワタと部屋を歩き回る。
すると、ニリアの部屋からニリアの姿をした人物が出てきた。
「ニリア〜おはよう〜。今日も良いてん……き……ええぇえぇ!?」
ニリアを見て驚いて叫ぶ男。おそらく、ユーシスなのだろうがニリアは警戒する。
「えっえっ! わ、私が! 私がいる! えっ! えっ! どういうこと!? ニリアはどこ!」
「……ユーシスなんだな?」
「うん、そう! そう私! ユーシス! えっ君ニリア? ど、どどういうことなの!? ってか私の声なんかおかしいよ!」
「落ち着いてユーシス。俺はニリアだ。とりあえず鏡を見て来て欲しい」
「うん、分かった!見る、見る!」
自分の姿であわてふためくユーシスに、ニリアは己のパニックを治めて洗面所へ行かせる。洗面所からは自分の声で「うわあぁわぁ!」と叫ぶ声が聞こえた。
洗面所から戻ってきた、中身ユーシス体ニリア、は驚きで目が開かれ口はワナワナと震えている。ニリアがこの表情をすることは永遠にないだろう
「わ、私ニリアになってるよ!」
「あぁ、みたいだね。俺はユーシスになっている」
「ど、どうして? もしかして私達呪われたのかな?」
「いや、原因は分からない。とりあえず今日一日どうするか話し会おうか」
頭が冷えたニリアは冷静にユーシスに話し出す。パニックは完全に治まったようだ。
ユーシスはそんなニリアをじっと見つめる。
「……なんかニリアが私になると、顔がキリっとしてカッコイイね…中身が違うとこうまで変わるの?」
「…ユーシスは全然俺っぽくないな。顔がフニャフニャしてるぞ。それじゃ変だ」
「えっうそ、ごめんよ。…ん……こう? どうキリっとした?」
「はは、したした。じゃあ俺はどうだ? ユーシスっぽいか?」
「全然オッケー! ニリア、物まねの才能があるね!」
緊張感のない会話、だがニリアは顔が綻ぶのを感じた。
「えっと、それでどうする? 周りには隠すかい?」
「とりあえずそうしておこう。突然の事で俺達は驚いている。焦って変な判断はしないほうが良さそうだ」
「わあ、さすがニリア!体は私でも頭はちゃんとしてるんだねっ」
「……そんな目で見るな」
自分がキラキラとした目で自分を見てくる。ニリアは目を逸らした。
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