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俺が葛西の告白を受けた、ということは瞬く間に周りに広がった。
「お、おい真知! お前葛西と付き合うって本当か!?」
「う、うん。だって断れなくて…」
「はぁ?なんでだよ! 断れるだろ!」
「だって俺の条件にはピッタリ合うのに、男だから嫌だなんて言ったら傷つくだろ?心は女性なんだから」
「心が女ぁ? 馬鹿真知! あいつはなぁ」
「ちょーっぷ!」
俺がクラスメートと話していると、葛西がクラスメートにチョップをかます。
「もう真知ちゃん! あたし以外の人といちゃついちゃ嫌よ!」
「べ、別にいちゃついてなんかない」
「ほら、あたしの隣に座って!」
そう言われて葛西の隣に座る。葛西は俺より背が高いのに座高はあまり変わらずなんだか悔しい。
「ねぇん…あたし真知ちゃんのお家に行きたいなぁ」
「家? 家はだめだ。母さんが…」
「お願ぁい! お母様にもきちんとご挨拶するからぁ!」
「で、でも」
母さんに何て言って紹介すればいいんだ。「母さん、俺が今付き合っているオカマの恋人葛西裕也だよ」なんて言ったらきっと母さん卒倒してしまうだろう。
「ほらぁ! ねっお、ね、が、い!」
「あっ馬鹿! やめろ!」
俺の耳にフッと葛西は息をかけて股間をまさぐってくる。
「あっあっ葛西! 馬鹿! …んぅ!」
「お家に行かせてくれるならやめてあげる…」
「あ、いか、せる!い、かせるよ!」
仕方なしに俺はそう言う。葛西は満足そうにして手を離す。
「さぁ真知ちゃんトイレに行きましょう」
「えっなんで」
理由を聞く間もなく、そのまま葛西にトイレへ直行させられる。
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