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「ちょっと、ひろみ! 何言ってんのよ!」
「えー、だってさぁエッチしなかったら許さないんでしょ? 真知君が兄貴とエッチしたくないなら別れるしかないじゃん? でもぉそしたら真知君1人で可哀想だから、そこを俺が救い上げてあげるの。真知君が、ひろみくぅんふられちゃったよぉ慰めてぇって言ってきて、俺が、兄貴のことなんか忘れさせてやるぜ…って言うのー! そんでそんでぇ俺と真知君はラブラブになるのー」
ねっ、と語尾にハートマークを飛ばしてひろみ君は言う。
いや、そんな、俺に同意を求められても……
「はぁぁ!? んなわけないでしょ! 真知ちゃんは私のことがだぁいすきなんだからエッチするに決まってるじゃない!」
「じゃあ、兄貴のことが大好きならなんで俺のことナンパしたの?」
「ぐぬぬ………真知ちゃん!」
「は、はいっ!」
「あたしとエッチするわよね?」
「え」
「あたしとエッチするわよね!?」
やっぱりものすごい形相をする葛西に詰め寄られた。
そんないきなりエッチしようなんて言われても、俺決められない…。けど今決めなかったら葛西にふられちゃうのかな。
葛西と別れたら…、葛西のあの甘くて美味しい卵焼きも、キャラメルが美味しいプリンも食べられなくなる。英語だってもう教えて貰えないだろうし、なによりまだぷうすけの人形をゲットしてない。
嫌だ、そんなのは嫌だ!
「する…! 葛西とエッチする…!」
俺は思わずそう叫んだ。
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