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 今まで俺はこんな修羅場を体験したことはあるだろうか。右にオカマの彼女、左に浮気未遂相手の彼女の弟。
 ない。というかこんな体験するはずもない。俺は品行方正の優等生だから問題を起こしたことはなかった。
 もし、母さんがこの事を知ったらどう思うだろうか。きっと驚のねあまり卒倒してしまうに違いない。

「仝〆〇♂☆§◎¥£#!」
「▲※〒〓∋∀∝†Å‰!」
「か、葛西……」

 それだけはどうしても阻止したい。
 ひろみ君と意味不明の聞き取れない罵り合いをしている葛西の服の袖を俺は引っ張った。

「んもう! 何よ浮気者!」

 お前が親のカタキか! とでもいうような形相で俺を見る葛西にビクビクしつつ、俺は必死に啜りついた。

「ごめんなさい、本当に。もう絶対しないから、許して!」
「そ、そんな可愛い顔したって許すもんですか」
「お願い、俺、裕也の言うことなんでも聞くからぁ」
「ふんぎゃぁぁあ! ‰♂Å#! 裕也℃£∋〓!」

 するとまた葛西がおかしくなった。奇声をあげながら頭を抱えて天を見上げている。
 やばい失敗しちゃったか? とおろおろして3分、葛西が奇声を止めキリッとキメ顔をしてこっちを向いた。

「エッチしてくれるなら許す!」
「え、あ……」
「してくれないなら」
「───真知君は俺が貰う」

 葛西の言葉を遮ってひろみ君が笑顔でそう言った。
 えー……。



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