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「あ、ぷうすけだ!」
葛西の言う通り、沢山のぷうすけがそこにはいた。
小首を傾げているぷうすけ、飴を舐めているぷうすけ、ぷうこちゃんと手を繋いでいるぷうすけ。 どれも大変可愛らしい。
「葛西、全部取って」
「はぁい、まかせて!」
俺はガラスに張り付きそう言う。
「って……百円ないや。両替してくるね」
「うん」
ああ可愛い。ぷうすけ可愛い。なんだここは天国か。
「あれ? 真知君じゃない?」
「え?」
ぷうすけをじっと見つめていると後ろから声をかけられた。パッと振り替えるとそこには…
「あ、ひ、ひろみちゃん!?」
「あは、偶然だね。何してるの?」
「え、あ、いや…」
「友達と?」
「う、うん」
思わず俺がどもってしまうのも無理はない。だってひろみちゃんには葛西という恋人の存在を隠している。葛西は今離れているがすぐ戻ってくる。2人がかち合ったらなんだか大変なことになるだろう。多分…
『真知ちゃんお待たせ〜……あれ、どなた?』
『あ、えっと…』
『友達のひろみです。貴方は?』
『うふ、真知ちゃんの彼氏です』
『え、か、彼氏!? ち、ちょっと真知君どういうこと!?』
『え、う、あ…』
なんてこと…なる、絶対なる。
早くひろみちゃんをどこかへやらなきゃやばい。
「ひろみちゃ」
「まっちちゃあぁん、お、ま、た……せ」
俺がギギギ、と首を後ろに向かせるとそこには百円を手に一杯持った葛西がいた。怖い。
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