3

 翌日、葛西と約束していた通り二人で出掛ける。待ち合わせ場所の駅前に行くと、既に葛西は着いていて誰かと話していた。葛西と話しているのは髪の毛が金髪で眉が細い、ヤンキーっぽい男だった。なんだか近寄りがたくて少し遠くから眺めていると、葛西と話していたヤンキー男がふとこちらの方を向き、俺を見て指を指した。葛西は男の指先にいる俺に気付く。タッタッタと少女マンガような走り方をしてこちらへやってくる。

「やだ、気付いてたなら声かけてくれればいいのにぃ! うふん、おはよう!」
「……おはよ。なんか声掛けづらくて」
「ああ、あいつ人殺してそうな顔してるものね!」

 まあ確かにヤンキー男は怖い顔をしているが…
 声をかけられなかったのはそれが原因じゃない。

「おーい! 裕也、またなー!」
「あいよー! また今度な!」

 何も言えなくて黙っていると、ヤンキー男が笑顔で葛西に手を振る。葛西も笑顔で手を振り返す。ヤンキー男に返事をする葛西は男っぽくてなんだかオカマじゃないみたいだった。

「……なんか口調違うな」
「え? ああ。喜一は子供の頃からの知り合いだから」

 昔の口調のままなのよ、という葛西がなんだか面白くなくて自分から聞いたくせに俺は「ふーん」と素っ気なく返す。

「あれぇ? 真知ちゃん嫉妬したぁ? 焼き餅焼いた〜?」

 ニヤニヤしながら聞いてくる葛西が少しうざかった。


******


 2人でゲームセンターへ行く。普段俺はこういうところへは来ないのだが、葛西が俺の好きなぷうすけという豚のキャラクターのぬいぐるみがあるというので今日はやって来た。

「うわ、うるせぇ…」
「あはは、すぐ慣れるわよ」

 入った瞬間凄い騒がしくて思わず顔をしかめてしまう俺を葛西は笑って頭を撫でてきた。



[*prev] [next#]
[back]
[しおりを挟む]


「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -