1
葛西と付き合って1ヶ月が経った。
「お、おい真知! まだ葛西と続いてるって本当か!?」
「うん、一応……。あいつ意外といい奴だし」
「で、でもさ、葛西は心も体もおと」
「ちょーーっぷ!」
クラスメイトと話していると、葛西がやってきた。葛西はクラスメイトにチョップをくらわすと、いつものように俺の頬にキスをしてくる。
「真知ちゃん、他の人とイチャイチャしちゃだめっていつも言ってるでしょ?」
「話してただけだ」
「んもー、焼き餅やかせないで!」
「はいはい」
俺はこの1ヶ月で学習した。葛西に逆らってはいけない。葛西の言う事を聞かないと、トイレだったり無人教室で恥ずかしい目に合わされるのだ。
だから俺は、なるべく葛西の言う事は聞くようにしている。
………俺、尻に敷かれてる?
「ねえ、明日2人でデートしましょ!」
「……俺忙しい」
「あぁん、そんなこと言わないでお願い! 真知ちゃんの好きなお寿司奢るから!」
「………安い回転寿司は嫌だ」
「あたし今お金持ちだから良いとこ連れてったげる!」
「じゃあ…行く」
実は気になっている新しい寿司屋があるんだよね。
******
久しぶりに今日は一人で帰る事になった。葛西はどうしても外せない用事があるとかで、先に帰った。
葛西がいないので、俺は寄り道でもしようかと思い、駅前の本屋に立ち寄った。
「うわっ」
「あ、ごめんなさい!」
少しキョロキョロしながら歩いていたせいか、人とぶつかってしまった。
俺は派手に転び尻餅をついてしまう。
「ごめんなさい、大丈夫?」
「あ、大丈夫……で、す」
上から声をかけられて顔を上げると、そこには俺の好みドンピシャな女子高生がいた。
[*prev] [next#]
[back]
[しおりを挟む]