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俺がクスクスと笑っていると葛西がこっちを凝視して動かなくなった。
ちょっと不気味だ。なにせデーモンだから。
「か、葛西…?」
「――はっ! や、やだわ真知ちゃんなんでもないのよ。おほほほほ! ただなんか可愛いなぁって思って」
「か、可愛い?」
男に可愛いと言うのは如何なものか。できればかっこいいと言われたい。まぁ、女の子はなんにでも可愛いって言うし、葛西も一応心は女の子だから仕方ないかもしれない。
「まぁ、その、ありがと」
「いやん、いいのよ」
一応お礼を言っておく。ちょっとだけ照れ臭かった。
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そのあとは葛西と何気ない会話をしていたのだが、やはり俺はどうしても葛西のデーモンメイクが気になった。メイクを落として欲しい。だけど、女の子には優しく言わないと怒ってしまったり、泣かれてしまうから、どうにか頭を捻って言葉を考える。
「あー、葛西あのさ…」
「なぁにー?」
振り返る葛西はやはりデーモンである。できるだけ刺激しないようにしなければ。
「そのさ、俺はいつもの葛西の顔の方が好きっていうか…。そのメイクも良いと思うけど、あー、その、いつもの方が可愛いと、思う…」
これが俺の精一杯である。恐る恐る葛西の顔を見ると、デーモンがぽかんと口を開けていた。
「あー…もうマジ可愛い!」
いきなり声が低くなった葛西に抱き着かれた。
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