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「じゃ、じゃあ俺達部屋にいるから」
母さんとデーモンメイクの葛西をいさせるわけにはいかないので葛西の手を握り、2階にある俺の部屋へと連れて行く。手は握った瞬間葛西がキャッとか言うので、すぐ離してしまったが。
「あらん、綺麗なお部屋」
「まあな…。お茶持ってくるよ」
適当に座ってて、と葛西に言って居間へと向かう。お茶はついでで、母さんにきちんと説明しておかなければいけない。
初めて息子が家に連れてきた友達がデーモンだなんてきっと驚いてるだろう。
「…母さん」
「あら真知君。お茶かしら?」
意外にも母さんは落ち着いていた。
「あの、びっくりしなかった?」
「したわよ。でもそれはお友達の見た目じゃなくて、真知君がお友達を連れてきたこと」
「え、あ、そっか。俺、連れてきた事なかったもんね」
単にそれは友達が母さんに惚れたら嫌だからなのだが、まぁ母さんが喜んでいるようなのでよしとしよう。断じて言うが、友達がいなかったわけではない。
「葛西君によろしく言っといてね」
「うん、分かった。お茶ありがとう」
母さんが用意してくれたお茶とお菓子をお盆に乗せて居間を出た。お茶を零さないように気をつけながら2階の部屋へと向かう。
「葛西お茶…――って何してんだ?」
「あらやだ! 違うのよ! 決して薄い本を探してたとかそういうわけではなくてね!」
葛西が俺のベッドの下を覗いてた。何焦ってるんだよ、バレバレだぞ。
「全く、お前は…」
デーモンメイクといい、葛西は変わっている。なんだかおかしくてちょっと笑ってしまった。
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