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 隣でぶつぶつ言いながら歩く葛西に恐怖を覚えながら我が家へと向かう。

「あっ、ねぇ真知ちゃん、お兄さんは実家に住んでるってこと?」
「ううん、寮に住んでる。だけど時々帰ってくるんだ」
「そうなのぉ! へぇ〜! とぉーっても! 家族思いなのねぇ」

 葛西は頬をぴくぴくさせながら微笑んだ。…器用だな。
 しばらく歩いていると突然葛西があっ!と言い立ち止まる。

「真知ちゃん、あたし百円ショップ寄りたいなぁ!」
「いいよ、駅前のところ?」
「ううん! 駅前はだめ!」
「じ、じゃあ商店街のところ?」
「うん、そこ! そこにしよ!」

 俺が駅前、と言った瞬間葛西は般若のような顔をして拒否をする。商店街、と言うと元の顔に戻る。
 もしかして駅前の百均でなんかやって、出禁にされたのかな…

「葛西…大丈夫、俺は気にしないぞ」
「えっ! やだ、何が! えっ」
「大丈夫、俺は分かってる」

 俺がそういうと葛西は凄くきょどりだした。やだ、嘘ばれてた?とぼそぼそ口にだしている。
 やっぱり出禁にされたんだな。



*******



 百円ショップに着く。

「葛西、何買うんだ?」
「ヘアースプレーよ」

 葛西はそう言ってずんずん店の奥へと歩きだす。俺は急ぎ足で着いて行く。

「あった、あった! これよこれ」
「へぇ、よく使うのか?」
「えっ! いや、あんまり! 友達がこれが良いって言ってたから!」
「ふうん」

 商品の場所も分かっていたようだったので、よく買っているのかと思えばそうでもないらしい。
 スプレーを買って俺達は店を出る。



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