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「…本当に来るのか?」
「もちろんよっ」

 放課後恐る恐る葛西に聞くと葛西は満面の笑みで答える。

「俺母さんに何て言って紹介すればいい? …彼女?」
「あらやだっ彼女だなんてそんなぁ! 裕ちゃん恥ずかしいっ! …友達でいいわよぉ」
「そ、そう?」

 こいつ自分のこと“裕ちゃん”って言ったぞ…
 可愛い女の子だったら許せるけど男にやられてもなぁ…。なんか頬染めてるし。

「あ、もしかしたら兄さんもいるかもしれないから」
「おっにいさぁん!? ちょ、ちょっと真知ちゃん! あなたお兄さんがいるの!?」
「う、ん」
「聞いてないわよ、初耳よ!」
「えっ…ごめん…」
「あっやだ! いいのよいいのよ! だからそんなにしょぼくれないで!」

 別にしょぼくれてなんか…
 ただなんかちょっとまずかったのかなって思っただけだ。

「ま、真知ちゃんのお兄さんて大学生? それとも」
「警察官」
「は?」
「兄さんお巡りさんなんだ」

 年の離れた兄は優秀な人で有名大学を卒業して、警察官になって我が家に仕送りをいつもしてくれている。
 性格がちょっと変わっていて変な事をよく言うけど良い兄さんだ。

「そっそう! 警察官なの…ち、ちなみに何処の警察署に勤めてるのぉ?」
「すぐそこの駅前の派出所にいるよ」
「あ、あそこぉぉぉぉ!?」

 やっべマジやっべばれる絶対ばれる、と葛西がなんやら呟く。

「か、葛西? ばれるって何? どうかした?」
「あ、やだなんでもないの! 気にしないで!」

 おほほほほ、と笑う葛西がちょっと怖かった。



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