2

 やっとクラスメート達が満足した頃には俺はもう瀕死の状態だ。
 早く家に帰って俺は休まなければならない。
 散々いびり抜かれた疲労のせいか眼が霞み、足はよろめいてしまう。
 足元はよく見えないが歩きなれた帰り道だ、大丈夫だろう。

「…ん?」

 ガコン、と足に何かが当たった。立ち止まってみると三角コーンが置いてある。
 なんだあぶねぇな、と一歩踏み出したその瞬間、足がすかっと吸い込まれる。

「うおぉぉぉぉ!」

 どうやら三角コーンを見た時にはすでに、三角コーンに囲まれた中に入っていたようだ。気が付かなかった。
 俺はそのまま穴へと落ちていく。一瞬見えたコーンに貼ってある紙には「マンホール注意!」とだけ書いてあった。



*******


 マンホールから落ちた先は下水道、ではなく大草原でした…。

「うぇあ…?」

 どこだ、ここは。辺りを見回してみてもただ原っぱがあるだけだ。
 まさか俺の町の下水道は大草原なのか。そうなのか。
 しかし上を見てもマンホールの蓋もなければ、ただ青い空が広がっているだけ。
 SF小説でこんな話があったような気がする。
 そんな馬鹿な話しなわけはないけれど…自体がよく飲み込みない。
 頭悪いんだ、俺。

「…ちんこ痛い」

 ちんこは相変わらずひりひりと痛かった。
 よし、寝よう。起きたらきっと元通りさ。
 そう現実逃避して、俺は原っぱに横になった。



*******


「…すか!?」

 ふと誰かの声が聞こえた。
 すか?やめろ、スカトロだけは勘弁してくれ。俺はうんこだけは食えない。うんこだけは無理なんだ。

「大丈夫ですか!?」

 大丈夫じゃない、食えないんだ。うんこだけは無理なんだよ。
 …ん?
 何か可笑しい事に気付き、俺は眼を開けた。

「あっ…良かった! あの、大丈夫ですか?」

 目の前にはとっても綺麗な人が心配そうな顔をして俺を見てました。
 天使、天使がいるぞ。



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