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手を繋がれている右手から俺の体が冷えていく。まるでこの体は別人のものになってしまったかのようで、俺の意思を無視して足は進んでゆく。
ついて行きたくない。どんな目に遭うかなんて、想像ついてる。昨日金武くんに楯突いたから余計酷いことをされてしまうだろう。金玉ひとつくらい無くなってしまうかもしれない。怖い。
だけど俺が彼に反抗できるわけもなくて、ついに部屋に着いてしまった。金武くんに連れられて来た部屋は俺の部屋と似たようなつくりの部屋だった。
「やっと二人きりになれたね・・・」
きっとクーナさんやショーヤちゃんに言われたら天にも昇るような気持ちになれる台詞。顔を赤らめたクーナさん。ムードは最高潮。俺のちんこも最大限・・・!!
だけど目の前にいるのはゲスい顔して微笑む金武くん。おれのちんこはこれでもかってくらいに縮み込む。
「ずっと待ってたんだ」
金武くんがそう言ってゆっくりとこちらに歩いてくる。俺の体は動かない。
殴られる? 何がくるんだろう?
怖くて目をつぶる。
頭も手も足もちんこも全て緊張状態だ。
だけど、いくら待っても何も来ない。なんだ? なにを企んでいるんだ金武くんは。
そっと目を開けた瞬間、暖かいものに包まれる。
金武くんに抱きしめられていた。
え? なにこれ?
びっくりして電池切れかけのバイブみたいに全身が震える。ブルブルブル・・・。
新手のいじめ?
イヤだ、なにこれ! 気持ち悪いよ!
ちんこも鳥肌立っちゃうよ。
「や、やめてよ・・・」
俺は意を決して金武くんを押し返す。
こんな優しい抱擁なんか今まで一回もしてくれなかっただろ。
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