32

 来る、きっと来る……。
 俺は布団の中に隠れてぶるぶる震える。さっきからずっと頭の中で、井戸の中から金武君が這い出てくる映像が流れているせいだ。
 授業が終わっても金武君への恐怖が消えるはずがなく、俺は四六時中びくびくして残りの時間を過ごした。
 執行を待つ死刑囚じゃないけど、この数時間で二、三歳老けた気がする。

「怖いよぅ怖いよぅ……」

 今は真夜中。
 金武君はきっと今頃監視の目を掻い潜り、部屋を抜け出て俺の部屋に向かって……、いや本当はもうすでに俺のことを見つめているのかもしれない。そして怯える俺を嘲笑っているのだ。
 こ、怖い…! おかげで俺の可愛い可愛いちんこも縮み上がってしまっている。おぉ、可哀想に…普段はもっと大きくて太くて立派な息子なのに。
 そんなことを考えていたら扉がコンコンと二回ノックされた。
 え…? ま、まさか。本当に……? き、来ちゃった?
 やっべぇ! やっべぇよ!
 ローターも電マもオナホもないけれど、金武君のことだ。なんとかしてしまうんだろう。
 俺はさらに布団の中で小さくなり、なんまんだぶなんまんだぶと唱える。 そして、キィィと扉が開く音がした……。
 も、もうダメだ……さよならみんな。短い人生だった……。

「サブロー?」

 うひぃぃぃぃ!
 犯されてケツアクメきめさせられてオシオキされちゃうぅぅぅぅぅ!!

「サブロー、おいどうした?」
「え?」

 なんか金武君ぽくない。
 布団からひょっこり顔だけだして見るとそこにいたのはキースちん。
 わーい!

「キースちぃぃぃん! 怖かったよぉぉぉぉ! うえぇぇぇん!」
「うわ、抱きつくなアホ!」

 抱きつきついでにキースちんのムチムチの足にちんこをすりすり。

「キースちぃん、三郎なんだかとっても怖いの。一緒に寝てぇ」
「馬鹿、俺は見回りに来ただけで」
「そんなこと言わないでぇ! おねがぁい、おねがぁい!」

 出ていこうとするキースちんにひっつき捕獲!
 同じベッドとはいかないけど今夜は一緒に居てくれるって……うふ、夜這いしよ。



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