24

 俺に宛がわれた部屋は思いの外綺麗で広い部屋だった。家の自室よりずっとマシだ。自室は弟と同じだったし、部屋は狭いし汚いしで最悪だった。

「わー、ベッドフカフカー」

 ベッドに腰かけると、今まで体験したことのない感触が腰に伝わってきた。思わず俺はそのままベッドに倒れ込み、ボヨンボヨンと跳ねてみる。うっひょおおおお! このベッドやべえええ!


「ねぇキースちんちん、この部屋かなり待遇良くない?」
「………ちんが一つ余計だ。お前は天神だからな。部屋が良質なのは当たりまえだ」

 キースちんち、いや、キースちんは呆れた顔で溜め息をつくと、そう言う。
 天神って、確か草原の家に来た筋肉バカも言っていたよね。何なんだろうか。

「あのさぁ、天神って何?」
「………知らないのか?」
「え、知らないけど」

 そんなことも知らないのお前? みたいな顔されたんだけど。三郎ちょっと傷ついた。
 これからはキースちんちんぶらぶらって呼ぼうかな。

「陽月の塔で預言者が、落下を予言した落ちの民の事を天神というんだ。お前は予言されたにも関わらず中々見つからなくて大変だったんだぞ」

 ちんちんぶらぶらが声に出てたのか、キースちんは天神について丁寧に教えてくれた。
 でもやっぱりちょっと分かんないかも。

「俺はこの世界に来るって予言されてたってこと?」
「そうだ。そして天神は予言した預言者の元で仕え、陛下の側室になる。お前も本当なら今頃は陛下と」
「はぁ!? ちょっと待て、キースちんちん待ってよ! 俺、あのセクハラと結婚すんの!?」

 俺がそう聞くと、キースちんは当たり前だろ、という顔をして頷いた。
 そんな……あんなやつと結婚なんて……。俺にはクーナさんショーヤきゅんというスイートハニーたちとアシュラちゃんというマイダーリンがいるんだ。結婚なんかできるわけないだろ!
 というかどう考えてもあの王様と俺だったら、体格的にカマ掘られるの俺だろ。いや、俺が王様カマ掘るのもいやだけど。
 どっちにしろ地獄だね! 逃げたい!



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