23

 デリカシーに欠けるセクハラ殿下のせいで嫌なことを思いだした俺は、なんだか本当に具合が悪くなってしまった。セクハラ殿下にそれを伝えると、今日は部屋で休めと言われた。
 とりあえず俺はお兄さんに連れられ、長い廊下をヨボヨボと歩いてく。おじさんは来なかった。おじさんはどうやら他の仕事があるらしく、お兄さんが俺のお世話係になったらしい。

「お兄ちゃあん、抱っこしてぇ」
「気色悪い声を出すな、アホ」
「あ、ひどい! 俺具合悪いのにー!」
「……肩ぐらいなら貸してやる」

 避難の目を向けると、ムスッとしつつ肩をくいっと差し出してくれる。あ、なにこの人優しい。

「あざっす!」
「うむ………──って尻を揉むな!」
「じゃあちんこを…」
「もっとダメだ!」
「……ケチ」

 肩に捕まるふりして尻をムニッと揉んだら横っ腹を殴られた。懲りずにちんこに手を伸ばしたら頭を叩かれた。
 俺が具合悪いって分かってる?

「ほら、さっさと捕まれ」
「………お兄さん、名前なんて言うの?」

 忘れてはないみたい。俺はお兄さんの肩を借りてゆっくりと歩き出す。

「キースだ」
「じゃあプリけつのプリちゃんって呼ぶね」
「ダメだ」
「じゃあナイスけつのナァちゃんって」
「ダメだ」
「じゃあキースちんは? ダメならグッドけつのグゥちゃんね」
「………それでいい」
「オッケー、キースちん」

 俺の提案にキースちんはしぶしぶ、という感じで頷いた。
 プリちゃんにナァちゃんにグゥちゃん、結構いいネーミングセンスしてると思うんだけどな、俺。



[*prev] [next#]
[back]
[しおりを挟む]


「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -