15

 確か町までは歩いて一時間ほど。俺はクーナさんと何もない草原を歩いていく。周りには俺達が草を踏みしめる音しかしない。

「あのさ」
「うん」
「この前のおっさん達は何しに来たの? 何で俺らが隠れるの?」
「……あの人達は陽の兵士だった。それでなぜか君を探していて…、誰かは分からないけどどこかの領主か何かが君を探しているんだよ。時たま落ちの民を欲しがる変態がいるんだよ。だから多分君を探していた人もそれだと思う。前、町に降りた時に君が落ちの民だと気付かれたのかも」

 固い声でクーナさんそう言った。俺はなんだか現実味が湧かなくて、呆然としているとキュッとクーナさんが手を握ってきた。

「大丈夫。サブロー君は僕とずっと一緒だからね」
「……うん」

 なんか雰囲気が暗すぎて、わーいプロポーズされちゃったよ、なんていうことはできなかった。


******


 町の入り口が見えてきた。わーい、やったね。

「……いっそ剃るか」
「うん? クーナさんどした?」
 何かぼそっとクーナさんが言ったので俺は聞き返す。

「いやね、いっそ君の毛を全て剃れば落ちの民だと気付かれないんじゃないかと思って」
「え…」
「君が月と同じような見た目だってばれてるから、見た目を変えちゃえば…」
「毛って……ちん毛とかも? 全身?」
「うん」

 ひいぃ。真面目な顔して言うことじゃないってマジで。剃毛プレイなんてマニアックすぎですクーナさん。

「ああ、でも目が黒いから意味ないか」

 あ、やらないで済みそう。やったね!
 でも目が黒くなかったらやるってことっすか。



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