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こうして近くでショーちゃんを見ると、きれいな顔をしているのが良く分かる。金色の睫毛がキラキラしてて、目は淡いグリーンで、唇は綺麗な桃色! 童話に出てくる王子様みたい。
「サブロー?」
「…ハッ! ショーちゃんに見とれてたわん!」
「ばーか」
大げさにリアクションすると、ショーちゃんはケラケラと笑ってくれた。本当に可愛い。
「楽しそうだな」
「あっアシュラ兄ちゃんお帰り!」
「ああ、ただいま」
アシュラちゃんが戻ってきた。ショーちゃんの頭をなでなでしているアシュラちゃんは、心なしかいつもより嬉しそうな顔をしている。
「アシュラちゃん、どこに行ってたの?」
「街に下りたあと、お前の上司と話していた」
「クーナさんと?」
「ああ。二三日中にはここを出ることになりそうだ」
「え」
マジか。
寂しくなるね、悲しいね。せっかくできた友達なのに。
「じゃあアシュラ兄ちゃん、やっと…」
「……ああ。その話しはまたあとでな。サブロー、世話になったな」
「うん」
「……鼻水たらすなよ」
鼻をぐずぐず言わせていたらアシュラちゃんが苦笑しながらちり紙をくれたた。笑ったところ初めて見たよ…。
******
ショーちゃん達とお別れする前に二人を思う存分堪能していたら、クーナさんのいる母屋から人の怒鳴り声が聞こえてきた。
「…! …を出せ! ……に……る……て…!」
相手は複数いるみたいだ。
「どうしたんだろう、クーナさん大丈夫かな? なんであんな怒鳴り声すんの?」
「待て、行くな。ショーヤ、聞き取れるな?」
「うん」
なんだかとっても不安。部屋を出ようとする俺を制してアシュラちゃんはショーヤちゃんを見る。ショーヤちゃんは力強く頷くと、耳を澄ますように目を閉じた。
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