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「お久しぶりーふ!」
よっ! と手を挙げてみるが、二人の反応はない。あれ…ちょっと大丈夫かい?
いやでもまた二人に出会えるなんて嬉しいね。俺達運命共同体!
「いやんシカト。それにしてもショーちゃん可愛いわぁ」
「…いや」
げへげへと笑いながら近づいたら、ショーちゃんはアシュラちゃんの後ろに隠れちゃいました。ショックゥ。
「……貴様、サブローと言ったか」
「やだ、ダーリンって呼んで!」
「お前の上司に俺達の風貌を言うなよ」
「え、なんで?」
「お前はおそらく落ちの民だろう? お前には分からない」
え、なんで俺が落ちの民? とやらだと分かったんだろう。不思議…アシュラちゃんってエスパーなのかしらん。
俺が不思議そうな顔をしていたのか、ショーちゃんがなぜ分かったのか教えてくれた。
「お兄ちゃんは俺達をみても何も言わなかったから」
「えっ俺セクハラしまくったと思うんだけど」
「…この土地の者達は俺達を見たら罵倒する。しないのは同族か、お前みたいな奴らだけだ」
それって、差別されてるってことだよね…きっと。思わず俺は顔を歪めてしまった。
嫌だろうなぁ。俺も散々いじめられてたし、ちょっとだけ二人の気持ちがわかる気がする。
「とにかくお前の上司には黙ってろ。上司はこの土地の者だ」
「……うん、分かった。でも、クーナさんいい人だよ…」
「……お前にはな」
フッと悲しそうな顔でアシュラちゃんは笑ってそう言った。
二人がクーナさんの前でフードで顔を隠していたのはべつに人殺してわけじゃなくて、差別から身を守るためだったんだ。
まるで逃げるような二人の生活を思い浮かべると、自分がいつもトイレに逃げこんでトイレで食事していたことを思いだす。教室で食べれば、クラスメートによって弁当はゴミまみれになってしまうから、いつも俺は教室から逃げて一人でご飯をたべていたんだ。
俺はトイレ飯なんか好きじゃなかったけど、身を守りたくてそうしていた。きっと二人も本当は顔を隠さず堂々と歩きたいだろうけど、身を守るために仕方ないんだ。
「……ちんこ、揉もうか?」
「結構だ」
元気にしてあげようと申し出てみたが、断られた。ちぇっ。
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